Novel

□覚英とリフシフ
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「まじでやんの?兄貴」

「ったりめーだろ。弱みを握ってやる」


こんにちは。毎度お馴染みリフティです。草陰なう。隣で一緒にコソコソしてるのは兄貴。視線の先にはスプレンディドとフリッピー。
死亡フラグを目の前にして俺は正直ちょっとビビってるけど兄貴が俄然張り切ってるので弟として傍にいないわけにはいかないんです。
なんで二人が一緒にいるかっては知らないけどスプレンディドもフリッピーもぶっ倒せれば(まあ夢のまた夢だろうが)俺たちもやりたい放題。
大体盗みの邪魔をしてくるのはこいつらなわけで、ちょうど二人でいたのを見かけた途端兄貴が俺を引っ張って草影に引っ張り込んだ。
最初はナニされんのかと思ってそれくらい溜まってたのかと思っていやいやでも外でなんてそんな大胆なとか思ってたら兄貴から提案されたのがこれ。

「尾行してあいつらの弱点を探る」だ。

いやー俺は無理だと思うよ。スプレンディドは伊達にヒーロー気取って大量虐殺してないしフリッピーなんて元軍人とかだしぶっちゃけもう気付いてんじゃね。
バレた途端視界が真っ赤になると思うけどなー・・・明日生き返る事がわかってなきゃできない事だぜ。こんな事。
ちなみにスプレンディドはというといつものヒーロースーツではなくてスーツに眼鏡。完全なるオフスタイル。

「おい、動いたぞ」
「あ?あぁ・・・」
「そんなちんたらしてたらバレるじゃねーか」
「・・(さっきからフリッピーがこっち見てるような気がしてんだけどなあ・・・)」

フリッピーが乱暴にスプレンディドの手を取って連れまわしてる感じだ。スプレンディドは何か言っているようだがここからは聞き取れない。
チラッとフリッピーがこちらを見る。たぶん目が合った。するとスプレンディドを木に押し付けてがっつりチューし始める。え、え。・・え?
兄貴は笑いをこらえるのに必死っぽい。
俺としては距離が0のディープキスとかスプレンディドの顔とか抵抗とかがなんというか兄貴とのアレと重なっちゃってアレがアレなんだけど。

「あいつらホモなの・・・ホモなの・・・くはっ・・・いつも殺しあってるくせに・・・くくっ・・・」

俺らもホモだし盗みに関しては裏切りあって結果的に殺す事多いし言えたもんじゃない気がする。
何がそんなに面白いんだか兄貴を見ると耳が微妙に赤い。顔半分を手で覆い隠してるからあまり確認できないがたぶん顔も赤い。
(あ、兄貴も照れてんのか)
それを笑いで誤魔化してるわけだ。兄貴も今凄い気まずい気分なんだけど自分から言い出したことだし考えてもみなかった状況だしでテンパってる。
うーん、可愛い。

「兄貴」

こっちに振り向かせて負けじと俺もキスをする。一度はびっくりした兄貴だけどすぐに俺の舌を受け入れた。
兄貴の息遣いと懸命に絡ませてくる舌に興奮が抑えきれなくて其のまま手に頭を添えて地面に寝かす。
じっくりと兄貴の味を堪能してると兄貴の動きが止まり、硬直した。
その蒼白な顔面ですべてを悟った俺、後ろ見れない。威圧感。

「よお、お盛んだなあ?」
「・・・恥ずかしくないのか、君達」

突き刺さる言葉に何も言えません。触発されたなどと。スプレンディドはともかくとしてフリッピーは完全に確信犯だ。やべえ。死ぬ。死んだよ俺達。
そんな絶望感をひしひしと感じる俺をおいて兄貴が言う。

「自分らだってあんな事してたくせによく言うぜホモップル」

やめろよ・・・この状況で真っ先に死ぬのは俺だぞ・・・と思ったところで今の体勢はまずいと思ったので兄貴の上からどいて横へ移り、やつらを見る。
真っ赤な顔をしたスプレンディドがパニクってる隣でフリッピーがフンと鼻をならした。

「お子様には刺激が強すぎたか?」
「お子様じゃねえよ」
「なにお前ら、する事してんの?」
「うるせーな」
「おいフリッピー君そのへんで・・・」
「なあ弟、お前が上?」
「えっ、あ、まあ」
「兄貴が自分に股開くのってどんな感じ?」
「こらだからもうやめ・・」
「は、恥じらう姿が可愛いです。」

ポンポンと会話がはずんでいる(ような気がする)。あれ、そういえば俺達まだ死んでない。
というか俺なんか変なこと口走った気がして隣から鉄拳が飛んできた。兄貴のだ。
ニヤニヤと問い詰めてくるフリッピーをゆでダコのスプレンディドが制する。制せてないけど。

「余計な事言うんじゃねえばか弟」
「いてえ・・」
「ふーん・・・・ま、こいつのエロさには負けるだろうな」
「は?」
「あ?」
「俺の兄貴が一番エロいっつーの」
「あ?」
「は?」

これだけは譲れねえ、兄貴 is No.1。

「さっきの見てたじゃねーか」
「お前らだって見てただろ」
「あれに触発されたじゃねーか」
「目の前に兄貴がいたら触発も何も俺の股間は反応してんだよ」
「・・・」
「・・・」

「・・・・・・なあ」

口を開いたのはスプレンディドだ

「そのへんにして・・・・もう今日は帰らないか・・・なんか・・・私はやるせない気持ちでいっぱいだ・・・」

眼鏡越しの視線を泳がせて呟く。そりゃそうだ。確かに。
でもどうしたって男には譲れないものが一つや二つ必ずあるものだ。そう、俺の兄貴が一番エロカワなのだ。
「だから・・・」と続けようとしたスプレンディドを俺達の隣に乱暴に押し倒す。
地面に叩きつけられて頭をガンと強く打ったスプレンディドは痛みに悶えている。
フリッピーが眼鏡をポイと投げ捨てて荒々しく唇に噛みつき、ネクタイに手をかける。ヤる気だ。
間近で見せつけられていつもなら顔を赤くするところだけど今回ばかりはそんな暇はない。
宣戦布告ととった俺も兄貴に跨り濃厚にキスをする。
あまり乗り気でないらしい兄貴の八重歯が歯に当たって少し痛い。
服の裾から手を入れて素肌を撫でまわすと「ぅおっ」と変な声が出る。これにだんだん色気を含ませていくのが俺の楽しみの一つだ。

その様子を横目で見ていたフリッピーがやっと口を離し、スプレンディドが大げさに酸素を取り込んでいる。

「大人の色気っつーのを見せてやるよ」
「いやーまだまだ若い俺達にそんなの通用しねえよ?」

どうしてこうなった!
(「俺の相手が一番だ!!」)



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