Novel

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「ねえ英雄さん。」

「なんだいギグルス、泣いていては可愛い顔が勿体ない。」

「私時々考えるの、ここから一歩外へ出たら人は生き返りなんてないんだわ。死ぬ。消滅。それってとても怖いことだと思わない?」

「突然だね、なにかあったのかい?」

「いいえ、なにもないわ。なにもないから怖いの。だってその境界ってどこにあるかわからない。」

「ここからでなければいい話さ。」

「ここってどこまで?ここは死んでも死なない町だけれどこの町はどこまでが町なの?」

「笑ってギグルス。涙を拭くんだ。」

「私はここから出たいと思う時がある。生死を繰り返す日常なんてまっぴらよ。今さらだと思うけれどあの苦痛は耐えがたいのよ。」

「ギグルス・・・」

「でもね、でもそしたらあなたに会えない。あなたは私に会うと私を殺して去っていく。明日になったらまた会えるけれど外に出てしまったらあなたにあっても私は死んでもう終わりなのよ。」

「私が君を殺す?」

「気付いていないのね、そこも好きだけれど。」

「話が読めないよ」

「わからなくていい、そのままのあなたが好き。」

「・・・」

「そんな事より、ねえ。きちんと前を見て飛行して。私まだまだ死にたくない。」

「私は君を殺さないよ。」


真っ赤な恋
(あかいあかい、ちのような)


*元拍手文

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