Novel

□」
1ページ/1ページ






私は追いかけ回していた、フリッピー君を。彼がいつまでたっても私の注意を聞こうとしないからだ。


「聞いているのかフリッピー君!」

「聞いてるっつーの、お前も大概暇人だな。昼休み全部俺に費やしてんじゃねーか」

「誰のせいだと!」

「いちいち騒ぐなよ・・・」

まったく失礼だ!彼は四限の授業をサボった。授業終了後に屋上で煙草をふかしていたところを、私がたまたま発見した。
その場で軽く注意をしたが詫びる様子は微塵もなく、さっさとあしらわれてしまったのでこうして後をついて回っている。

「だいたい君はな・・・!煙草は吸うわズボンはずり下がっているわ授業はサボるわ喧嘩はするわそもそも学校にもまともに来やしない!学業は私たち学生の務めだぞ!」

「はいはい」

「おかしいだろう!なんのために君は学校に来ているんだ!わざわざ私達の為に来て下さっている先生方に申し訳ないと思わないのか?」

「うんうん」

「またそうやって適当に・・・ん?」

「それで話は終わりか?」

話に夢中で追いかけ回していたら個室に入っていたようだ。どこだ?音楽倉庫?
後ろ手にドアを閉めて、おまけに鍵をかける音がした。(どこから持ってきたんだ)
あたりに楽器やら譜面台が詰め込んであって下手に身動きがとれない。

「フリッピー君?」

「俺が来る理由なんてお前に決まってるだろスプレンディド、教師なんて最初からなんとも思ってない。サボったらお前が探しに来てくれるだろ」

「なっ・・・なにを・・・っ!」

私は騙されない、騙されないぞ!こんなものいつものお遊びであってフリッピー君は私をからかっているだけだ。
わかってはいるが赤面する顔を抑えられない。背後には譜面のビッシリ入っている棚、目の前には嫌な顔で近づいてくるフリッピー君。
どうしてこうなった!あぁもう逃げ場がない!トランペットのケースが動くなと私に圧力をかけてくるようだ。

「どけフリッピー君!授業に遅刻してしまうだろう!私を巻き添えにする気か!」

「あぁ・・・次の授業はなんだったか?」

「体育だけれど今日は担当の先生が風邪で休んでいる筈だから、保健じゃないか?」

真隣の音楽室にはぞろぞろと生徒が入室してきて騒がしくなってきている。
ちなみに、音楽倉庫は殆ど吹奏楽部が放課後に使うだけなので基本的に鍵はかかったままだ。私だって入るのは初めてだ。
フリッピー君が何故鍵を持っていたかはまあこの際気にしないとして、今この中に人がいるなんて皆思っている筈がない。
ついに先生も来て授業が始まった。ということは完璧に遅刻じゃないか!


「保健か・・いいじゃねえか、俺達も保健体育の授業しようぜ」

「だから教室にむかおうと・・・って!なっなにをするんだ!ちょっ」

「あんましおっきー声出すと聞こえちまうぜ、保健体育の実践授業だよ・・・っと暴れんなよ、楽器があぶねえだろ。ペチュニアに釘さされてるんだからよ」

そうか鍵を渡したのは彼女か・・・!私が直接言っておかなければ!フリッピー君のキスは暴力的で力が抜ける、
ベルトを外され一気にズボンを脱がされて内腿を撫でまわされた、やめてくれよしてくれ、私ではなくなるこの感覚が嫌だ!
至る所に手を這わせるフリッピー君の瞳がねっとりと私を捕えてもうどうしようもできない。



結局丸々一時間付き合わされて生まれて初めて授業をサボってしまった。
注意もまったく聞き入れていないしいろんな意味で負かされたし腰が痛くて立ち上がれないしで最悪だ!


六限目開始のチャイムを聞いた。
(すいません、出れません)



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ