Novel

□女はいない
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「なに見てんだ、リフティ」

部屋に籠り床に座ってこっそりいかがわしい本を読んでいたら後ろからぬっと兄貴が出てきた。やめてくれまじでびっくりするから。別に兄弟なんだから恥ずかしがる必要はないと思うけど反射的にそれを抱いて背中を丸めて隠してしまった。

「・・・・・・・・・なんでもねえよ」

「なんでもねえなら見せろよ、ホラ」

「なんでもねーって!」

兄貴絶対楽しんでる、楽しんでますこいつ。エロ本と知ってか知らずかわからないけど<俺の隠したもの>が見たいんじゃなくて<焦ってる俺>が楽しくてやってんですこいつ。
くっそー一度書くしたらホイと出せねえじゃんか数秒前の俺馬鹿ちくしょー。と、必死に守っていたら兄貴が脇腹をがばちょと掴んできてくすぐったくって力を緩めてしまった。
・・・あーあ。目の前に広がるナイスバディな女の裸体。巨乳。いいケツ。むっちりした脚。ドサッと音を立てて本が開かれた状態で床に落ちる。

「なんだ、俺のお古でよけりゃあげたのによ。つーかなに、そんな恥ずかしがんなくてもよくね。」

「恥ずかしいっつーか条件反射だろあれは。エロ本読んでたら隠しちゃうだろ。」

「ふーん・・・あ、お前巨乳好きなの。」

それを手にとってパラ見する兄貴。すると途中で止まってじっと見る。比較的可愛い感じの子だと思う。胸は小ぶりだけど顔が小さくて髪型はボブ。

「こいつ可愛いよなあ」

「おっぱいが足りねえ」

「お前もガキだな」

「うるせえ」

それから二人でそのエロ本を凝視して討論を広げながら盛り上がった。兄貴はしきりに「せっくすしてー」っつってた。
最近は全然女がつかまらないんだと。俺が似たのか俺に似たのか定かじゃないけど兄貴は顔がいいから割と女はとっかえひっかえだ。俺?俺は一応童貞じゃないけど彼女はいない。

「お前そういうのねえの?」

「え?」

とりあえず基本乳にしか興味のない俺に兄貴は言ってきた。んー確かに別にエロ本を読んでせっくすしてえとは思わない。
枯れてるとかじゃないぜ、俺のはまだまだ暴れん坊で元気100倍。若いからね。


「いや俺、最近めっきり兄貴にしか勃たないんだよね」

「きもっ」

そういった兄貴はちょっと耳が赤かったわけだ。


女はいない。
(それでも恋人はいるのさ)



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