Etc

□何か、幸せ
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「おっ……俺…っ、碧亥のこと…好き、なんだけどっ…」



思わず目を見開いた。突然の告白。か、風早があたしを…好き!?
顔を真っ赤にして俯いている風早を見てついついつられて顔を赤くした。



「あた、あたしも…か、風早のこと、す、好きだよ…?」



言った、ついに言った…!風早は口に手を当てて、一瞬目を丸くして、そして笑った。


「ありがとう……やばい、今日の俺幸せすぎるっ…あの、さ」



えーと、と風早は頬を掻き、視線をズラした。



「……俺と、付き合ってくれる?」



「! も、もちろん喜んで。――あたしでよければ」


「あ、当たり前!つ、つーか碧亥しか好きになれね……っ!!」


途中まで言ったのに、今言った言葉がどんなに恥ずかしいことかに気づき、ついに後ろを向いてしまった。
――んもう、可愛いなぁ。


「ちょ、今の俺こと、絶対見ないでッ!ちょ、超テレるッ」


「ふふ。じゃあずっと見ててやる」


「なっ!」


恥ずかしいだろ!と顔を真っ赤にさせてそう言った風早。
そんな顔で言われても説得力ないし、どうしてもニヤけてしまう。



「……うん、わかった。――ねえ、今週の土曜予定ある?」


「え?……ああ、予定はないよ。…てっ!」


すると彼は目を丸くした。んー何かさっきから可愛い反応。
“デートしたい”って、伝わったかな?少しでも。



「ど…どっか、いく?」



「うん、ってゆーか行こうよ。どこにする?」



風早は、んーとうなった。顎に手をやり考えるしぐさをする風早がまたとんでもなくかわいらしい。
そして数秒後、あ、と何かひらめいた表情をした。



「なら俺んち!どうかな」



「いいけど、どうして?」



「…まぁいろいろ。ちゃんと紹介したいし……さ」



「……そっか…ありがとう、風早」


「!! ……お、おう」



風早は口に手を当てて、また俯いてしまった。
今度は耳まで真っ赤。――つまりまたテレている。


「よし、じゃーかえろっか」


「…あ、ああ。そ、そーだな……帰るか」



ぎゅ、とやさしく手を握ってきた。――しかもさりげなく。
え、と手のほうを見ると風早はきょとんとした顔でこちらを見た。


「へ?…どーした?………あ、手……ヤだった?」


目を少し潤ませて、こちらを見る風早。―――うっ、そのカオは反則!ズルい!
ついつい慌てて答えてしまう。



「!? や、い、イヤじゃないよ!?む、むしろうれしッ………!?…」



途中まで言っておいて、今気づいた。――自分がバカだと。
チーンと効果音がなりそうな勢いでシラけ、その空気に耐えられなくなりつい俯いた。


「……くくっ」


風早の方を少し見ると、彼は間違いなく笑っていた。


「…くくっ、…ぷっ……ぷはははははッ!
碧亥可愛い、やべぇ…超可愛い!可愛過ぎて涙出ちゃうわ」


お腹を抱えて笑っていた。く、くそ…可愛いだなんて。
そしていまだに笑っている風早。…なんかヒドくね…?
つい、キッと睨み付けた。(全国の風早ファンの皆様本当に申し訳ございません)
風早はニコニコと笑っている。後悔しました、ほんと。



「あのさ、碧亥」


「は、はい…な、何でしょう?」


「……今のカオ、誰にも見せないで。――超カワイイから」



What?今、もしかして睨み付けたのを上目使いと勘違いしたのか、まさかの。



「…え?…う、うん……?」



「……んっ!今のカオ、俺と二人だけのとき……俺だけに見せてね」


じゃないとお仕置きだから、と風早は爽やかに笑った。



「……うん、約束ね」



「ああ。」




指切りをして、二人は一緒に帰った。



何か、幸せだな


(…うん、そうだね)
(だな)
(……うん)



END




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