Etc
□また俺の事を好きにさせてみせるよ
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幼馴染みの、古閑衛人。
家はお隣同士って言うか、マンションの号室が隣ってだけなんだけども。
でも最近、衛人君は意地悪になって来ました…っていうかドSに。
「…えーいーとー」
一緒に帰宅している衛人に、少し暗い表情で彼の名を呼んだ。
「ん？何、どしたの？」
彼はそんな私に構わずいつもどおりのあの超うざやかスマイルで返事をした。
ちっくしょー！こっちの都合もしらねえで。
「私失恋しちゃったんですよぉ、慰めてくださいよ」
「……………ふーん、それで？」
…何だ今の間は。今の間に怪訝そうな顔をしつつ、冷たい反応をしてくれた衛人を睨む。
「……失恋した女の子に対してそんな事言うー？フツー！」
むーと、唇を尖らす。衛人はぷ、と噴出した。もう！どうして人の失恋を笑うのかな。
「何がおかしいの？！」
「いや、ちがくて……今のかわいかった。」
は？ご、ごめん。今の言葉気のせい…？
い、いやでも……ちゃんとしっかりと聴こえたぞ、かわいかったって。
少し期待してしまう自分。――ああ、なんていうかバカだ。
「そーやって失恋をバカにするんでしょ、衛人はっ」
新奈ちゃんとデートでもすれば、とツンとした態度でその場を通りすがろうとした。
あ、やべえ衛人の表情超怖え。……ごめんなさい、神様助けてください。
尚更逃げる様に走ろうとすると、衛人は私の腕を掴む。いってーよ！
「……俺は春日さんの事好きじゃないんだけど」
「………は？」
「…はぁ。だから、俺は春日さんの事は好きじゃない！」
「……ああそう。だからってどーしてそんなキレ気味に言うの？」
そう聞くと、衛人はバツが悪そうに視線を落とした。
え？ええええ？ど、どうした衛人。やっぱり新奈ちゃんの事…。
「………もう、君はどうしてそんなに鈍感なのかなぁ。はぁ」
呆れるよ、と肩と一緒に溜め息を落とした。
え？と首を傾げつつ、彼の言葉を頭で整理する。
“もう、君はどうしてそんなに鈍感なのかなぁ。はぁ”
………うーんと、つまり？
衛人はココロを読んだかのように、答えを出した。
「……俺は碧亥の事が好きなんだよ」
「え？」
嘘、え？えええええええええ？嘘だッ！！
ああ、今時ひぐ○しネタは時代遅れ？悪かったわね！！！！
いや、それにしても今のは……ねぇ？驚いていい？しかも盛大に。
「………ほ、ホントー…ですか。」
「うん、ホントーだよ。さ、返事。」
付き合ってくれるよね？とでも言える満面なまっくろーい笑みで訴えかけてきた。
………え、えー？！いやー確かにそりゃさ、うん。衛人の事は小さい頃は好きだったけど？
うん、そう、なんだけ、ども。
「………いや、いやーあのさ…私今日失恋したよ？」
「うん、それ知ってる。」
現場見てたし、とニコニコとそういった。
はああああああ！？げ、現場見てたって、ちょ、おま…。
「…まーじーでー………う、は、恥ずかしいわ…」
「…ハイハイ。でもね、アイツは君の事好きだったんだけどね」
「え……！なのになんで私が断られなきゃいけないのよー？！」
「俺がソイツに“絶対OKすんな”って言ったから？」
ほわーい？どーしてそうなるんだーい！
何でそこでお前が出て来るんだよーう。はぁ、と溜め息を付いた。
「だから、俺がずっと君の事好きだったから。
……分かる？今まで君が失恋した理由。全て今言った事だよ。」
にこにことそういった。くそう、この笑顔むっかつくわ。
「…………あー……あぁ、なるほど」
「いや絶対分かってないだろ。上の空バッレバレ。
………ね、それでさ、返事は？」
「…………あ、はい。」
「やったー！やっぱり付き合ってくれるんだね、ありがとう！」
「…はぁ！？！違う違うちがーうッ！今の“はい”は、今返事しますって意味！！」
自惚れんなー！と叫ぶが衛人はスキップを踏む勢いで無視した。
「ちょ！ってゆーか何でそうなんのよー」
「？ だって俺の事好きじゃないの？」
「は、はぁ！？」
「……じゃあ嫌いなの？」
「い、いやー……嫌いではないんだけども、アンタは過去形だから？みたいな」
気まずいって言うか、と苦笑いを浮かべる。
すると衛人はニッコリ笑顔でこういった。
また俺の事を好きにさせてみせるよ
（い……意地悪っ）
（ん？なあに？もう一度言ってごらん？）
（（このSめ……））
―――――――
風早の「ダメ！絶対ダメ！絶対、もうダメ！」に惚れた。
浪川さんの声は素晴らしいー。
しっかし古閑君の笑顔とS加減にも惚れたわ。
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