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□赤い糸 前編
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「獄寺さーん」


「なんだよ」


「12月24日、あいてますか?」





そう楽しそうに聞いてくるハル。
俺は、次の言葉を想像してゆるむ口元を引き締め、
あくまでなんでもねぇ風に装って言った。





「12月24日?
…まぁ、あいてないこともねぇな」


「ホントですか!?
じゃあ、その日はあけておいてくださいね」


「あぁ、わかった。」





一ヵ月も前から考えてきたクリスマスのシチュエーション。





ハルの好きそうな雑貨屋、


ハルの好きそうなケーキ屋、


ハルの好きそうなイルミネーション、





あとはデートに誘うだけだったそんな時の、
ハルからのお誘いだった。





「あ、そうです。
獄寺さんは何色が好きですか?」


「色?
そうだな…赤とか黒とかはわりかし好きだな」


「赤か黒ですね。
なら問題ないです」


「問題ない?
何がだ?」


「へへへ、内緒です。
24日までのお楽しみですよ」


「ったく、もったいぶらせやがって」


「まぁまぁ、
そのほうが楽しみも増えますよ?
じゃあ24日、楽しみにしててくださいね」


「あぁ」





こうしてハルを家へと送り届けた俺は
もう一度クリスマスシチュエーションをシュミレーションしながら、
家路に着いた。
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