のべる2
□右手
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心臓がドクドクとすごい勢いで脈打ち、
息が苦しくて、立ち止まりそうになる。
そんな自分の体に鞭を打ち、重い足を1歩、また1歩と進めた。
「は…やと…さ…ん…」
涙で視界が滲んできた。
それでもハルはひたすら走り続けました。
「隼人さん!!」
勢い良くドアを開け、リビングへと駆け込む。
「は、ハル!?」
「ゲホッ…ゴホッゴホッ…」
「大丈夫か!?
ほら、水飲んで深呼吸しろ」
手渡された水を飲み、言われた通り深呼吸をする。
だいぶ楽になってきました。
「そんな急いで…なんかあったのか?」
「なんかあったかじゃないですよ!!」
「……ッ……!?」
ハルのあまりの剣幕に息を呑む隼人さん。
「ツナさんから連絡来て…
隼人さんが大怪我したって…。
ハル、心臓止まるかと思い…まし…た…」
「あぁ〜もう、泣くなって」
溢れてくる涙を優しく拭ってくれる隼人さん。
その表情は、困ったようなでも少し嬉しいような…そんな複雑なものでした。
「ほら、別に命に別状はねぇから。
んな、泣くなって;;」
「だ、だって…」
「ちょっとへまして右手がいっちまっただけだから。
十代目もそんな大事みたいに言わないでくださいよ」
「アハハ、ごめんごめん」
「ツナさん…!?」
隼人さんのことばかり気にしてたから、完全にツナさんの存在に気付きませんでした。
「いや、俺もハルに心配させないように言おうと思ったんだけどさ、ハル途中で電話切っちゃうもんだから…」
「だ、だってもういても立ってもいれなかったんですもん!!」
「ということで獄寺君。
大切な奥さんこんなに泣かした罰として、今日から1週間休養という名の謹慎ね?」
「じゅ、十代目!?」
「本当は怪我が完治するまで休ませたいけど、そうすると獄寺君隠れてでも出て来そうだからさ。
とりあえず1週間は絶対安静。
自宅謹慎ってことで。
じゃあ、お大事にね〜」
そうにこやかな、でも決してNOとは言わせない笑顔を浮かべつつ、ツナさんはまだ仕事が残ってるからと言って、ボンゴレアジトへと帰っていきました。