‡気象短編:裏〜激裏‡
□欲しいなら、言ってみな?
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N視点
『今から和ん家行っていい?』
そんな電話が掛かってきたのはついさっきの事。
もちろん「いいよ」っていつも通りな声色で返したけどね、俺達地味にケンカ中だったりすんだよね。
って俺が勝手に苛ついて勝手にお仕置きしてるだけなんで、多分翔ちゃんはまだ気付いてない。
でもまぁ…さすがにそろそろ気付く頃ですかね?
俺がこの1ヶ月ちょっとの間、実行し続けている“お仕置き”……それは。
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ゲーム機を弄る俺の隣、ソファーに深く座っている翔ちゃん。
さっきから俺の事ガン見なんですけど?
「………翔ちゃん。俺の顔に穴でも開ける気?」
「…………」
「で、だんまりですか。何か言いたい事でもあんの?」
ゲームから目を離さずに問いかけると「別に」なんて小っちゃく返ってきたけど。
何もないって事ないでしょ?
「言いなさいって。聞いたげるから」
「……ゲームしながらかよ?」
「はいはい、切りゃいいんでしょ切りゃあ」
画面をセーブしてからゲーム機を机に置き、少し不機嫌さを混じらせながら翔ちゃんに向き直る。
っていう演技だけどね。
内心翔ちゃんが“その事”をどう切り出して来るのか楽しみで堪んない。
「……で?何なの?」
「…いや……べつ」
「ゲームまで切らしといて“別に”なんて言ったら張っ倒すよ」
「…っ……」
俺が語気を強くすると、翔ちゃんは困った様に眉を下げて押し黙ってしまった。
「翔ちゃん?」
低く名前を呼ぶと翔ちゃんはピクッと体を震わせた。
でも、ちゃんと言うまで引いてやんないよ?