‡気象短編:裏〜激裏‡
□胎動-Ver.NA-
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仲直りへと繋がりうる小さな芽は、早い内に踏み潰す。
言わせないよ?
勘違いして、嫉妬して、悲しんで、勝手に拗れて壊れればいい。
「そう…だよね、うん……やっぱ言わないのが正解だよね」
相葉ちゃんは俺の言葉に力なく俯いて、無意識にか俺の服の裾をキュッと握りしめた。
それを見て悲しそうに歪む翔ちゃんの顔。
ごめんね?
翔ちゃん、相葉ちゃん貰っちゃうから。
翔ちゃんの代わりに俺が幸せにしてやるから、安心してくださいね?
俺は相葉ちゃんがまだ俯いたままなのを確認すると、翔ちゃんに向かって薄く微笑んで見せた。
それを見て立ち上がり掛けた翔ちゃんを潤くんが引き留める。
何事かを囁かれ、翔ちゃんは小さく頷きまたソファーに沈んでいった。
やるじゃないですか、潤くん。
俺は殊更優しく微笑みながら、相葉さんに目を向けた。
「ねぇ相葉ちゃん。今日俺ん家来ます?」
「へ?」
「辛いんでしょ?何にも出来ないかもしれないけど、話くらい聞くよ?」
「ニノ……」
「全部吐き出しちゃいなよ。ね?」
「うん…ニノ、ありがと」
回り出した歯車は止まらない。
膨らんだ欲望も、今さら抑えは利かない。
だったらもう……突き進むだけでしょ?
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