‡気象短編:裏〜激裏‡
□崩壊という名の幕開け
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「冗談ですって。」
そう言って俺は拗ねてそっぽ向く相葉ちゃんの頭をくしゃっと撫でる。
いつも、同じことの繰り返し。
「うひゃひゃ。だからニノって好きなんだよね」
何の警戒もなく抱きついてくる相葉ちゃん。
「はいはい、そりゃどうも」
そう適当に返すけど
やべぇ…気ぃ抜いたら顔がニヤける。
そんな時
─ガチャッ─…
「次相葉ちゃんとニノ撮影だってさ。……ってお前ら相変わらず仲良いよなぁ?」
……出たよ。
扉を開けて入ってきたのは俺の好きな人の好きな人、ってかまぁ恋人ね。
俺に抱きついたままの相葉ちゃんを見て怒るのかと思ったら、翔ちゃんは苦笑混じりにそう言った。
「翔ちゃんそんなでいいの?」
「へ?何が?」
「何がってあんた……恋人が他の男に抱きついてんだよ?何とも思わねぇの?」
「うーん……だってニノじゃん?」
何ですかその“俺は安全圏”みたいな言い方は。
そういう詮索の範疇外って訳ですか。
それは仲間だからっていう信頼?
それとも見くびられてる?
どっちにしろ面白くないね。
「翔ちゃんそんな余裕かましてるといつか足元掬われるよ?」
「は?」
翔ちゃんはほんとに意味が分からないのかバカそうな顔でキョトンと俺を見詰めた。
隣では漸く俺から離れた相葉さんも同じようにして首を傾げていた。
この鈍感天然カップルがっ!
心の中で悪態を吐いた時、半開きだった扉の隙間から潤くんが滑り込んで来た。
「お前らまだ居たのかよ?撮影だっつってんじゃん」
「……すみません。今からすぐ行きますから」
「そうそう!怒んない怒んない」