‡気象短編:裏〜激裏‡
□好きよりもっと
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Side.S...
「翔ちゃん、万歳して」
麗らかな昼下がりの日差しがカーテン越しに眩しい、そんな日の相葉家。
ソファーで大人しく新聞を読む俺の傍らにちょこんと座って、雅紀は眠そうな目を擦りつつそう言った。
「………何で?」
「いいからっ。ほら手上げてよ」
「何なんだよもー…」
こいつの脈絡のない発言なんていつもの事。
半ば呆れにも似たため息を吐き出しながら両手を上げれば、その隙間に入り込むようにして雅紀の頭が俺の膝に乗った。
ソファーに無造作に足を投げ出して早々に目を瞑る雅紀は、どこか子供っぽくて口元に知らず笑みが広がる。
「なに?寝んの?」
「ん〜……ちょっとだけ」
「そ」
短く返事を返し、新聞を閉じて机に置く。
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