‡気象短編:裏〜激裏‡
□翔ちゃんの執事。
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Side.S...
「翔様、夕食をお持ちして宜しいですか?」
──ああ、うん。
「翔様、お風呂の用意が整いました」
──分かった、すぐ行く。
「翔様、もうお休みになりませんと」
──うん、分かってる。
「それでは、お休みなさいませ」
──……おやすみ、二宮。
パチン、という音と共に部屋の照明が落ち、室内は途端に暗闇に包まれる。
一人用にしてはやけに大きなベッドを持て余しながら、俺は小さく右に寝返りを打った。
徐々に暗さに慣れてきた視界の先には重厚な扉。
つい今しがた部屋を出て行った人物の姿が脳裏を過る。
「はぁ〜…」
長いため息と共に、扉に背を向けるようにして再び寝返りを打つ。
子供の頃のあいつは、とにかく俺にべったりだった。
周りが大人ばかりだったってのもあるかもだけど、片時も離れずについてきて正直ウザいと思った事は何回もあった。
このどデカいベッドだって、あいつがどーしても俺と一緒に寝るっつって聞かないから、ガキの頃に父さんに頼んで買ってもらったってのに。
「何でこうなっちゃったんだろ……」
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