‡気象短編:裏〜激裏‡

□譲れない想い
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メンバーが出ているドラマは必ずチェックしている。
喩えそれが彼でなくても、ニノであれ相葉ちゃんであれリーダーであれ、最低でも必ず一話は見るようにしている。
それは単に、自分のメンバーがどんな風に“自分以外の人間”を演じるのかに興味があるってのと、自分も頑張ろうってカンフル剤にもなるからだけど、最近はそれも習慣のようになってしまい理由なんてもうあってないようなものになっていた。
それでもやっぱり翔くんの出るドラマは俺にとってはどこか特別で、大まかにだけ聞いていた粗筋を思い浮かべながら録画していたそれを再生させ、とんでもない衝撃を受ける事になった。

「……………は?」

徐々に進むストーリー。
録り貯めていた何話かを一気に見たけど、内容なんかよりもっと別のところに意識が釘付けになった。
ちゃんと台本があって、それに対する演技なんだと分かっていても、妙な焦燥感と嫉妬とが溢れそうになって、結局は行き場を失った暗い感情は腹の底に貯まっていく。
翔くんはちゃんと演技だったとしても……あいつは違う。
翔くんを見る目が、触れる指先が、翔くんを求めてる。もちろん純然たる欲望として。
言っちゃえば俺だって、翔くんに対して同じような感情を持ってる訳だから、それが自分の事のようによく分かる。
だからこれは確信。
仕事という線引き上の絡みならこんな風には思わなかったと思う。
けど仕事という名目に託つけて、公私混同して欲望のままに翔くんに触れるヨコに、どうしようもなく苛ついた。




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