‡気象短編:裏〜激裏‡
□大切だから
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S視点
「……………」
下半身に感じる違和感。
最初は気のせいかと思ったけど、無視している内に行為はどんどんエスカレート。
お尻をまさぐる手を止めさせないのに身動き一つ出来ないこの状態。
って何でこんなに混んでんだよっ!
久しぶりに重なった5人のオフで遠出してきたのはいいけど、ちょっと離れた隙に車はレッカー移動され。
タクシーも通らないから仕方なく電車に乗ってみれば、今度は痴漢。
マジで今日踏んだり蹴ったり……。
気持ち悪いけど動けねぇし……ケツくらい我慢するか、と思っていた矢先。
「──…っ?!」
ズボンの中に侵入してきた手が直に俺のモノに触れた。
何で今日に限ってこんな緩いズボン履いたんだよ俺!
なんて思ってみても今更で。
「……っ、…っ…!」
緩急を付けて上下する手。
でも声は死んでも出せない。
恥ずかしさと悔しさで瞳を涙で滲ませながらどうにか後ろに首を向けると、薄く暗い笑みを浮かべた若い男が居た。
睨み付けてやろうと思ったのに、ゾクッと背筋が冷たくなって顔を逸らした途端自身がギュッと握られた。