‡気象短編:裏〜激裏‡
□胎動-Ver.NA-
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N視点
“あの日”から数日が経った今でも、相葉さんの様子は何処かよそよそしいままだった。
それとなく探りを入れてみたらどうやら“あの事”を翔ちゃんには言えてないみたい。
だからと言って何も無かったようにいつも通り甘えられる程相葉ちゃんは器用じゃなくて、普通にしてるつもりでも妙な違和感がついて回っていた。
相葉ちゃんの変化に敏感な翔ちゃんはすぐに気付いて色々と質問してたみたいだけど、頑として相葉ちゃんは口を割らなくて。
そうして今、翔ちゃんと相葉さんの間には徐々に微妙な溝が出来始めている。
可笑しいくらいに思惑通りに事が進んでいてニヤけそうになる顔を必死に元に戻す。
相葉ちゃんは元凶である潤くんとは最早目も合わせない状態で。
となると頼ってくる相手って自ずと決まってくるもんでしょ?
「ニノ……俺どうしたらいいの?」
悲しそうに揺れる相葉ちゃんの瞳を見たらツキンと小さく胸が痛んだが、そんなものは即座に切り捨てた。
だってこんなチャンスはもう二度と来ない。
「どうって…相葉さんはどうしたいの?」
「翔ちゃんとこんな気まずい状態なの耐えらんないよ……」
「じゃあ話しちゃえば?あなた潤くんに超濃厚なベロチューされてましたよーって、言ってやれば?」
「そんなの言えるわけないじゃん!」
「冗談ですって」
「やめてよね……こんな時に冗談なんて」
必死な様子の相葉さんは気付いてない。
こそこそと楽屋の隅っこで繰り広げられるひそひそ話に、翔ちゃんからの寂しそうな無言の視線が注がれていた。
ねぇ、それは嫉妬?
悲しみ?
戸惑い?
不安?
俺は笑い出したい衝動を必死に堪えて言葉を紡ぐ。
「まぁ、普通は言えないでしょうね」
「………だよね…」
今の状態に耐えきれなくて言っちゃいたくなった?
ダメだよ?相葉ちゃん。
「翔ちゃん潤くんと仲良いからね、そんな事されたって知ったらすげぇ傷付くんじゃない?」
「…っ………」
「それだけで済めばいいけど下手すりゃ嵐自体が終わるかもね」