‡気象短編:裏〜激裏‡
□崩壊という名の幕開け
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N視点
「ねぇねぇニノ!翔ちゃんったら昨日ね、」
そう楽しそうな顔で恋人との出来事を惚ける相葉ちゃんの顔はキラキラしていた。
こっちの気持ちには気付きもしないで。
内心ため息を吐きつつも俺は至っていつも通りを装って、相葉ちゃんの話に相槌を打つ。
「へぇ?良かったじゃん」
「うん、そうなの」
「相葉ちゃんさ、幸せそうだね」
「そりゃもちろんっ!何てったって俺愛されちゃってますからっ!」
「あっそ。ごちそうさま」
肩を竦めながらゲームのスイッチを入れると相葉ちゃんは「ちょっとニノ!ちゃんと聞いてよっ」って俺の肩を揺すってくる。
てかさ、酷じゃねぇ?
相葉さんの事好きな俺に対して恋人の惚けとか。
ってんな事相葉さんは知らないんだけどね。
知らせるつもりもないし。
それもこれも相葉ちゃんの笑顔の為。
そう思ってきたわけだけど……にしたってちょっとは気付けよっ!ってたまに怒鳴ってやりたくなる。
それが人間ってもんでしょ?
「ねぇニノってばぁ〜」
俺がそんな事考えてるなんて知らない相葉ちゃんはしつこく絡んでくる。
「相葉ちゃん煩い」
「えー…だってニノも俺と翔ちゃんのラブラブ話興味あるでしょ?」
「興味ねぇよ」
あ、ついつい本音が。
プクっと膨れる相葉さんを場違いにも可愛いと思ってしまったり。
「ふーんだ!もうニノには教えてあーげないっ!」
「やっとうざい惚け話から解放されて清々しますね」
「〜〜〜もうっ!ニノのバカー!」
好きな人の口から好きな人の話なんて聞きたい訳がない。
でも翔ちゃんから相葉さんを奪って“恋人”になる自分なんて想像できないし。
結局は今の“(おそらく一番仲のいい)メンバー”って定位置を守るしかない。
かなり不本意だけど。