‡気象短編:表〜軽裏@‡
□不器用な2人の踏み出す一歩
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M視点
あの日から、翔と付き合い始めたあの日から約1ヶ月半が過ぎた。
時間が合う日にはご飯に行ったりお互いの家に行ったりして、会えない時でも電話で話したりして。
下の名前で呼び合うのもキスするのも体に馴染んできて、関係は至って良好……と言いたいとこだけど。
「あーっと……潤、喉乾かない?」
「……別に?てか翔さっき大量にお茶飲んでなかった?」
「え…そうだっけ?じゃあ……あ、トイレ借りるな!」
「ちょっ…翔?!」
俺の声を無視するようにそそくさと部屋を出ていく翔を見て、思わずため息を吐く。
……何でだよ。
俺はそのまま脱力してベッドに仰向けに寝転がった。
「そんっなに俺とすんのが嫌なのかよ……」
これでもう、5回目だ。
別に直接“ヤりたい”つって断られた訳じゃねぇけど、そういう雰囲気になる度に翔は何のかんのと話題を変えて俺から逃げる。
最初の内は…まぁ照れてんのかなって無理やり自分に折り合い付けたけどさ、こう何回も続くとやっぱ……
「正直ヘコむよな……」
かと言って無理強いはしたくないし。
けどさ、俺も結構我慢強い方だと思うけど……さすがに限界ってあると思わねぇ?
てか好きな奴と一緒に居て変な気起こさねぇ奴の方がありえねぇだろ。
翔は俺と居て、そんな気分になったりしないわけ?
「“しない”なんて言われたら結構ショックだよな……」
はぁ…とため息を吐いて上体を起こすと、半開きの扉の影に翔の姿が見えた。
「……翔?そんなとこで突っ立って何してんの?」
「えっ…いや、別に?」
俺が声を掛けると、翔は何でもなかったように部屋の中に入ってきた。