‡気象短編:表〜軽裏@‡

□彼女のひみつ
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N視点






そして。

潤くんはうだうだと絡んでくる相葉ちゃんを引き摺って帰り、俺は半ば強引に翔ちゃんの家に上がり込んだわけで。


「さて、と」


まんまと翔ちゃんを追い出し部屋に一人きりになった俺は、机の引き出しをそっと開けた。

ん…あれ?

別に何も変なもん入ってないけど?

でもあれだけ慌ててたんだから絶対何かあるはずで、首を傾げながら部屋にある全ての引き出しを片っ端から開けていく。

けど、ない。


「っかしいなぁ〜…」


コスプレ衣装隠してたくらいだから、てっきり怪しい玩具か何かがあるもんだとばっかり思ってたのに……何も出てこない。

一通り見たけどやっぱり納得出来ずに最初に開けた引き出しをもう一度開けてみた。


「ここが一番怪しい気がしたんですけどねぇ……」


けれど入ってるものと言えば手帳みたいなのと歌詞が書いてると思われる紙の束と……何かの景品?と思われるキーホルダーと、あとはCDが何枚か。

ってかどの引き出しも統一性が無くてグチャグチャなんですけど……。


「…はぁ……。整理しようよ翔さん」


翔ちゃんが戻ってくるまでにサッサと見ちゃおうと思ってたのに、思い通りに事が進まずげんなりと肩を落とした。


「直接本人に聞いたって絶対言わねぇだろうな……」

半ば諦めかけながら意味もなく作りかけの歌詞の束をペラペラと捲る。


「……無理やり吐かすか」


翔ちゃんの事だから、焦らして焦らして泣かせれば絶対に口を割るだろうし。

そんな物騒な事を考えながら紙の束を元に戻す。
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