‡気象短編:表〜軽裏@‡

□隣の部屋の彼女会
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N視点





今日はロケが一緒だった潤くんと晩飯食べに来てます。

潤くんの最近の行き付けだっていう居酒屋はお洒落な雰囲気で料理の味も申し分無い。


「ん。潤くんこれうまいよ」

「あ、それだろ?それこの店の裏メニューなんだよ。普段は食えねぇよ」

「マジで?じゃ今食い溜めしとかなきゃじゃん」


冗談とも本気とも取れない口調でそう言ってまた料理に箸を伸ばす。

その時

聞き慣れた声が隣の個室から聞こえた気がして、思わず潤くんと俺は顔を見合わせた。


『あーほんとお腹ぺっこぺこ!』


……相葉ちゃん?

首を傾げて潤くんに目で合図すると、潤くんは「何で?」って風に首を傾げた。

壁に目を向けると上の方が凝った彫り細工の欄間になっていて、どうやらそこから声が漏れてるらしい。


『あ、こっちこっち。早くってば!』


相葉ちゃんは多分廊下に向かって誰かを呼んでいた。

潤くんの眉間に面白くなさそうにシワが寄る。

そりゃそうでしょうよ。

“相葉ちゃんとよく来るんだ”って言ってたお店に相葉ちゃんは別の人と来てる訳だからね。

俺は他人事のようにまた料理を口に運んで咀嚼したけど、次に聞こえてきた声でその動きを止めた。


『ちょっ…相葉ちゃん声デカいって』

『ごめんごめん!ほら、座ろ?』


え……翔ちゃん?

潤くんを見ると眉間のシワは綺麗に消えていて、代わりに口角が楽しそうに上がっていた。

それを見て俺も同じ様に笑った。


「(2人して何話すか興味ありません?)」

「(だよな。暫く聞いとくか)」

「(賛成)」


俺達は極力声を抑えながら頷き合うと、隣の部屋の会話に聞き耳を立てながら食事を再開した。

だって彼女2人が普段何話してるかって興味あるじゃん?

俺らの事何て話してんのかなって。
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