頂き物

□3Z銀高+土1
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授業が終わり、昼休みになった。高杉は鞄を探り、弁当を探す。

……あっ。

「………忘れた」

仕方ない。学食でも行くか。そう思い高杉は席をたった。


学食につき、食券を買う。カウンターで、料理と交換し、座れる席を探す。
と、長いテーブルの端に黒髪の目付きの悪い男子生徒が座っているのを見付けた。

「土方」

声をかけ、空いていた前の席に腰を下ろす。

「…高杉?珍しいなお前が学食なんて」
「…弁当忘れた」
「成る程な」

土方も腰を下ろしたばかりの様で、おぼんの上の狐うどんは、減っていない。

「沖田達とは、一緒じゃねーんだ?」
「あぁ。あいつは、いつも弁当だ」
「へぇ」

まぁ、食べますか。そう思い割り箸を割ったところで、後ろから気だるげな声をかけられた。

「あれー?晋ちゃん学食?」
「…銀八」

よいしょと口にだしながら、銀八が俺の横に座りおぼんをおく。

「珍しーねぇ」
「………」

いや、そんなに珍しいか?まぁ、確かに学食来たの今日が初めてだけど。

「いいから食べようぜ」

土方はそう言うといきなり、鞄から白い物を取り出した。

……マヨネーズ…?

それはまごうことなきマヨネーズで、確かに学食にあるなら、なんの疑問もない。
だけど…おい、いま鞄からだしたよな?
しかも何?狐うどんにマヨネーズっていらなく…って、

「うわぁぁあ!?」
「うぉっ!?なんだよ、どうした」
「ま…まよね…!!」

そのマヨネーズを土方が親の仇のように力一杯、狐うどんにぶちこんだ。
高杉は、その凄まじい光景につい、声を上げてしまった。

「…おいおい、俺と俺の晋ちゃんの前で気持ち悪いもん作らないで下さいますー?」

盛大にため息を吐きながら銀八が呆れた声でそういった。

…えっ?なんでそんなに驚かないの?えっ?まさかいつも食ってるの?

「あぁ?土方スペシャル狐うどんverになんか文句あんのか?先生こそなに飯にかけてんだよ」

…へっ?…やっぱりあるんだ?別のver。ん?銀八の飯?
土方の言葉に半ばパニックの高杉は銀八のおぼんを見た。
普通の唐揚げ定食のご飯の上。
そこに乗っている黒い何か。高杉は頭でその何かを理解するのに、数秒かかった。

「―――ッ!?」

理解した途端声にならない悲鳴をあげる。
唐揚げ定食のご飯の上にのっているそれ。
それは、和菓子によく使われている小豆だった。

「はっ?俺の宇治金時丼になんか文句あるの?」
「そっちこそ、土方スペシャルに文句つけんじゃねーよ」
「へぇ?じゃあどっちがうまいか勝負でもしますか?まぁ、宇治金時丼のがうまいけど?」
「はっ、望むところだ」

そこで、二人はあまりの光景に放心状態の高杉を見た。

「「よーし、んじゃ高杉・晋ちゃんに勝敗を決めてもらおうか」」

「えっ…おい…?」

やばいから。それ両方、人間の食べ物じゃないから。高杉は、目の前につきだされた真っ白と真っ黒のそれを見て血の気が引いていくのがわかる。

「「ほらっ!!」」


……食えと?


「って、駄目だわ、晋ちゃんにそんな犬の餌以下なの食わせられないじゃん!!」

はっと、気が付いたように銀八が叫んだ。

「いーや、それよりそっちのあり得ない組み合わせを高杉が食ったら腹壊しちまう」

対抗するように土方も言う。

…食べなくて良さそうだ。 ほっと、胸を撫で下ろしていると土方と銀八の戦いが徐々にヒートアップしていった。

「何?なんでお前が晋助の心配?心配するならその真っ白い何かを下げてくれる?」

「はぁ?お前こそ高杉を思うならそんな気持ち悪い飯どっかにやれよ」

「気持ち悪くないよねー?晋ちゃん。つーか、炭水化物と甘味の組み合わせは最強だから。サンドイッチ将軍が作り出した由緒正しき食べ物なんだよ?ね、晋ちゃん」

「いや、ないだろ。サンドイッチ将軍ならサンドイッチじゃね?」

「はぁ?それを言うならこれだってなぁ、マヨネーズと飯をバラバラに食うのがたるかったバルバロッサ将軍が」

「…それが本当ならそいつは世の中に大迷惑な奴だな」

「とにかく、宇治金時丼を馬鹿にするやつぁー生徒だろうが、許さねぇえ!!」

「こっちだって、マヨネーズを馬鹿にするやつぁ、竹刀で殴り殺してやる!!」


二人は同時に、器を手に持ち、それを机に叩きつけるようにおいた。


―ドンッ ビチャ


そのせいで小豆とマヨネーズが跳ね、それが高杉の顔に付着する。


―ブチィ


瞬間、高杉の周りの空気が凍った。

「…てめぇら」


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