頂き物
□3Z銀高+土1
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高杉はユラリと立ち上がった。手にはいつの間に持ったのか、土方の竹刀が握られている。勿論、マヨネーズと小豆はもう拭われていた。
ニヤリと口の端を吊り上げて妖艶に笑う。そのオーラはとても高校生に見えない。
「あ…あの晋…ちゃん?」
「す…すまん、高杉」
「…てめぇら、覚悟は出来てるんだろうなぁ…?」
ゆっくりと竹刀が空気を斬る。
「あれれ?き…気のせいかな、一瞬真剣に見えたよ?」
「…やべぇ、なんでだ…?煙管が…煙管が見える…!!」
「ククッ…いい面だなぁ、銀時に鬼の副長さん?」
「だっ…だめぇぇえ!!それ本誌の方だから!!時代が違うから!!」
その言葉に何故か土方がニヤリと笑う。
「…高杉ぃ今日こそ捕まえてやるぜ」
「土方くん!?君まで暴走始めたら、先生どうすればいいの!?」
「やれるもんならなぁ?」
「いやいや、学食で何始めるつもりだぁぁぁ!!」
瞬間。銀八と土方の脇腹に竹刀が思い切り叩きつけられた。
「いっだぁぁぁぁぁ!!」
「…くっ、さすがだな…高杉…」
そのまま土方は気を失い、土方スペシャルに突っ伏した。
銀八は涙目になりながらも顔を上げると、高杉は優しくニッコリと笑っていた。
「……晋ちゃん、酷くない?」
「……銀時ぃ」
「いやいやだから、ここでは銀八だから。誰だよ、銀時って」
高杉は、銀八の言葉を無視して、銀八の頭をくしゃりと撫でた。
「……いつの時代でもてめぇは変わんねぇなぁ」
「…へっ?」
ククッともう一度高杉は妖しく笑う。
「…晋助?」
「銀時ぃ」
高杉は銀八の顔にゆっくりと自分の顔を近付けた。
「…えっえっ?」
耳元に口を持ってきて、フゥと息を吹き掛ける。
「…ッ!?」
そして、いつもより数段低い声でボソリと呟いた。
「………死ね」
へっ?と銀八が顔を上げた瞬間、満面の笑みの高杉が竹刀を降り下ろす最中だった。
…あはは、泣いていい?
ふぅ、と高杉は息を吐いた。銀時…いや、銀八か。銀八も唐揚げ定食のおぼんに突っ伏して倒れている。
「…ったく、本当に変わらない野郎だなぁ」
ニヤリと笑って。この時代では目立ってしまう竹刀を土方の横に戻す。
「まっ、せいぜいこの時代の俺を可愛がってくれや」
そう呟くと、銀八の額に口付けを落とした。
「…どうなってんだ?」
高杉が我にかえると何故かそこには突っ伏した土方と銀八がいた。
…うん。
「もう絶対、学食では食わねぇ」
高杉はそう固く誓った。
終わり