同人小説

□IJADEA
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世話焼きなんたら。











今、俺の腕の中には甘い香りのする細い体が収まっている。

引っかからない、触り心地の良いさらさらの髪を掬って遊ぶとまたふわりと香りが起つ。

香りの名前はエゴイストプラチナム、だそうだ。

似合うけど意外だよね、と香水の名前を教えてくれた姫は笑った。
まあ似合うというよりは「ハマる」名前だな。

…で、何でこんな状況になってるのかというと。









「…ん?」

「お早うございます、ユーリ」

笑顔で挨拶された朝。
軽く剣の稽古を済ませて廊下をぶらぶらしていたら、科学部屋からこいつージェイドが出てきた。

「…おはよ」

早いな、と言おうと思ったが、目の下に隈を確認したから止めた。
早いんじゃなくて遅いんだわ。

そのままフラフラと自動ドアを開けてホールに出て行った。

…足元危ういな。転ぶんじゃねえか?

ーと、まあ、同じ感じでフラフラ帰って来たジェイドに冗談で軽く足掛けしてやったんだ。

「…ユーリ。」

本気ですっ転ぶとは思わなかった。

「悪りい、立てるか?」

わざとやっておいて悪いもないが。
床に手をついたままじーっと上目使いで睨まれたから、とりあえず謝って手を差し出した

目の下の隈のせいで、変に怖い

「何考えてるんですか…全く」

手を引くと、フラつきながらようやくって感じで立ち上がる。

このまま解放したらこいつまた研究に戻るんだろなー。と思ったら何となく放したくなくなって、その腕をもう一回、引っ張っていた。










「ユーリ?」

で、今の状況に至る。

「何だ?」

何となく心地良いので、引き留めた体を腕でしっかり抱いて俺に凭れかからせ、サラサラの髪を弄ぶ。

得に理由があって引き留めた訳ではないので俺から言うことがなく、ジェイドもジェイドでどうしていいか分からない感じだ。


「ー…旦那!」

と、誰かが走ってきて扉を開けた。
ー…ガイだ。
一瞬驚いたのか呼ぶ声を詰まらせた

「よ。」

髪を弄っていた片手を上げて声をかけた。

「あ、ああ、こんにちは…かな?」

微妙な状況にやや固ってるガイ。

「お前んとこの旦那、危なっかしいから捕まえたぜ」

何故、とかとりあえず置いといて。

「あ、…そうか、ありがとう、ユーリさん」

「ユーリでいいよ。年近いしいい加減敬語は止めようぜ」

「じゃあ、ありがとう。ユーリ」

ガイは爽やかに笑った。これが女連中に好評のアレか。

「…私を無視して話を進めないでください…」

不満全開な声が腕の中から聞こえ、俺はもう一回そいつの頭を撫でてやる。

「悪かったな、ほら」

抱いていた腕を放すとガイが寄って来て回収した。

「姫かよ」

「我がままな姫でね」

剣士らしく、力があるガイは軽くジェイドを姫抱きした。
おっさんを姫抱きとは趣味が悪いが、絵になっているので何とも言えない。

「下ろしなさいガイ!!一人で歩けます!」

ジェイドが慌てて暴れている。これは確かに我がままな姫かな

「じゃ、戻るよ。ありがとうなユーリ」

「おう」


ガイはそのままジェイドを抱えて出て行った

…カップル、なのか。









それから何となく、ガイが居ない間俺はジェイドを監視している。

監視、っつーか、何となく気になっちまって。


そんな俺を見て
まるで、世話焼きなんたらだと、本物の姫が笑った。






ー終わりー

百合じぇ。
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