現代BASARA

□夢の花
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特に部活をすることの無い帰宅部。
外に外出するより、家で本を読むか趣味の料理をしている俺に?
「…そんなの…無いだろ…だってよ俺…顔…み…みに…く…い…」



『何て醜い…。』



『これじゃぁ、人前に出すなんて…』



直接脳に語り掛けるような記憶の言葉。


病に掛かり一命は取り留めたが、薬の副作用で目の色が薄くなり、その周辺の皮膚も今では大分消えかかっているが醜くただれた。


うつ向きキュウッと、右手で自分の右目を覆う眼帯を握る。
「……何を気にしてるのかわっかんねーけど、政宗は綺麗だぞ…?」
「そんな訳あるか!!お前は見てないからそんな阿呆な言葉が口から出てくるんだ!!」
毎日毎日、毎朝鏡でみる自分の顔にため息しか出てこないのに。
「…どら…。」
未だに腕を離すつもりの無い元親は腕に納まったままの俺の顔を隠す眼帯を簡単に指で弾いた。
「やめっ!!………チカ?」

ドアップだ。
元親の…
必死に元親の顎を上に押して抵抗を試みたが、いかせん力が違いすぎる。
簡単に退けられた。

濡れた感触が右目の周辺に感じられる。
「何だよ綺麗じゃねーの?」

コイツ…
信じられんね〜っ!

「こ…こ…コイツ舐めやがったぁ!!」


俺の大絶叫がクラス中に響き渡り、女子の黄色い声と野郎の野太い「流石ですアニキ〜」という声援が、次々に上がった。


かすがは、何も見ていないと言わんばかりに外に視線を移していた。


その一時間も経たない間に元親の朝の行動は学校中に広がり、慶次や幸村が物凄い勢いで教室に飛び込んで来た。
勿論、幸村は「破廉恥なぁ〜っ」と、叫びながらだったのは言うまでもない。





====


「……何で人の顔を舐めるんだよオメェは…!!」
ギリギリと在らん限りの力でシャツの襟を締め上げる俺に元親は、苦しいとペチペチと音が鳴る程度の力で俺の手を叩く。
「だって…政宗の可愛い顔が目の前にあったから…っ!」
「顔が近けりゃ舐めて良い訳じゃねぇだろっ!大体テメェ誰にでもんなことしてんだろっ!!この年上殺し!!」
元親と言えば、年上に人気の高いワイルドな容姿をしている。
ギリギリと未だ離さ無い俺を元親の鋭い猛禽類のようで、人懐っこい子供のような目がキョトンとして見つめてきた。

「いや、政宗にだけだぜ…?慶次や佐助と一緒にすんなって!それに…次からはチュウにすんなっ!!」

は…はい?

いや、噂でしっかり知ってるけど。
慶次や佐助は特定の女とは付き合わず、絶えず数人の女の子と付き合ってんのとかは…
あ、いやいやソコじゃ無い。無いだろ俺。


「何でkissする話になってんだぁぁ〜!!!」

「良いだろ?恋人同士なんだし。」
ニヤリと笑う表情を拳で殴りたくなる。
コイツのせいで今は学校中に俺がコイツと付き合っているという話になっているからだ。
ソレを必死に否定するのは…今じゃ幸村と慶次だけ…。
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