ヒトミぐるり
□ただよう
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ゆみこは、その間中、声もあげず、ひたすら、私の動きに呼吸をあわせていた。
時折、切なげによる眉は、苦痛なのか、快楽なのか。それすら、わからなかった。
それでも身体の内側は確実に反応していることが、私の欲情を駆り立てた。
ゆみこ…。
…ゆみこ…。
ふと、自分が、ゆみこを愛しているような錯覚を覚える。
…まさかね。
『このまま、ゆみこさんがオサさんを好きになったらいいのに』
トムも顔をしかめながら言ってたっけ。
…
「なんか、可笑しいですか?」
ふいに、ゆみこが目をあけた。
「オサさん、笑ってるし」
「うん」
「それに…泣いてる」
「え?」
ゆみこは自分の胸元をぬぐって、指先を、私の唇にあてた。
「ほら…」
舌先に塩の味を感じる。
「オサさん…」
「ん?」
「寂しいのは、みんな同じやと思いますけど」