『瞳…』
□Buenas noches
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「なあ、チエ…」
「はい」
「ワタシの嫁って誰やろ?」
「は…?」
初夏を思わせる陽気のテラス。
泡がゆっくり立ち上る細長いグラスを置いたトウコさんが唐突に言った。
「トウコさんの相手役…ですか?」
「変やろ?まだ、ワタシがトップになるって決まったわけでもないのに」
風が吹き抜けてトウコさんのちょっとウェーブがかかった前髪をゆらした。
「なんや…、めっちゃ気になんねん」
「トナミさん…じゃないんですか?」
「まあな。せやけど…」
トウコさんがまた、例の『裏トウコさん』が潜む胸もとに無意識に触れている。
…
「なんか…、胸さわぎがするというか…」