『瞳…』

□鮮紅
2ページ/12ページ

本拠地での公演を終え、次の公演までの短い休みを、私たちは一緒に過ごすことにした。

何がうれしいって、誰にもじゃまされずに、2人きりでいられること♪

つきあうようになって(つきあって…るんだよね?)改めて、トウコを狙ってる、いや、慕っている者の多さを実感する。

トウコのまわりにはいつも下級生たちがムラムラ(byゆーきゃん)群がっているし。特に、そう、そこの君!!いつもトウコのすぐ横で、尻尾をぱたぱたさせている大型犬!!近づきすぎだーっ!!

「ワタルさーん。顔、怖いですよぉ〜」

ダンちゃんに言われて、自分の手が『ぐー』になっているのに気がつく。

トウコは誰のものにもならない…って、頭では理解した…つもりなんだけど。

ほーら、また、そんな上目遣いで相手を見てる。そんな顔しちゃ、誤解されるよお(泣)。

いっそのこと…、リードでもつけとくか…。
…色は赤…、リボンをつけて…。
そうだ、鈴もつけてみよう…。

…かわいい(にへらぁ〜)。



「ダンちゃん?」
「あー、イシさん。ワタルさんを見てたら、飽きませんよ〜♪」

私は、見世物ぢゃありませんっ。





「ワタさん?」
「あ、ごめん」
「なんか、あんまりうれしそうやないなぁ」
「そ、そんなことないけど」
「せっかくの誕生日やのに」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ