『瞳…』
□鮮紅
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本拠地での公演を終え、次の公演までの短い休みを、私たちは一緒に過ごすことにした。
何がうれしいって、誰にもじゃまされずに、2人きりでいられること♪
つきあうようになって(つきあって…るんだよね?)改めて、トウコを狙ってる、いや、慕っている者の多さを実感する。
トウコのまわりにはいつも下級生たちがムラムラ(byゆーきゃん)群がっているし。特に、そう、そこの君!!いつもトウコのすぐ横で、尻尾をぱたぱたさせている大型犬!!近づきすぎだーっ!!
「ワタルさーん。顔、怖いですよぉ〜」
ダンちゃんに言われて、自分の手が『ぐー』になっているのに気がつく。
トウコは誰のものにもならない…って、頭では理解した…つもりなんだけど。
ほーら、また、そんな上目遣いで相手を見てる。そんな顔しちゃ、誤解されるよお(泣)。
いっそのこと…、リードでもつけとくか…。
…色は赤…、リボンをつけて…。
そうだ、鈴もつけてみよう…。
…かわいい(にへらぁ〜)。
…
「ダンちゃん?」
「あー、イシさん。ワタルさんを見てたら、飽きませんよ〜♪」
私は、見世物ぢゃありませんっ。
…
…
…
「ワタさん?」
「あ、ごめん」
「なんか、あんまりうれしそうやないなぁ」
「そ、そんなことないけど」
「せっかくの誕生日やのに」