『瞳…』
□願い
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「何だか楽しそうね…」
「あー、おめでとうございまーす」
現れたフェルゼンはこれまた美しく、正月やなあ…、としみじみ思う。
「3日間、よろしくお願いします!!」
コムカルが、ぴしっと挨拶する。
「うん、こちらこそ、よろしくね」
「じゃ、あとで」
ブロンドの髪をひるがえしながら、コムカルが行ってしまうと、フェルゼンが身をかがめて、ワタシを覗きこんだ。
「…で、何の話をしてたの?」
「…別…に…」
「ふ…ん…」
フェルゼンは、ちょっと首をかしげると、ワタシの肩に手を置いた。
「トウコ…」
顔がぐっと近づく。
「決めたよね。隠しごとはしない…って」
「うん」
「じゃあ、言って」
「…ワタシが…、きれいになったって…」
「なーんだ、そんなこと」と、ワタさんがふわっと笑った。
「私もそう思うよ。…トウコ…」
…
唇が…近づく…。
ワタシは、目を閉じ…て…
…
…って、ここ楽屋!!!
それに、口紅が、ついちゃ…ぅ…
…
…
…
「ほら、こうすれば大丈夫…」
唇は触れないまま、その中身だけさらっと奪うと、ワタさんは、身体を離した。
ワタシといったら、だらしなく口が開いたまま、心臓は、はくはくしている。
「ワタさん…大胆…」
「ありがとう♪(いや、褒めてません)」
ワタさんは立ち上がると、「じゃあね」
とフェルゼンになって、去っていった。
…
「見いぃ〜ちゃった♪」
「コム!!!」