『瞳…』

□星がきれいだ
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ということで、窓2面が全面ガラス張りの、無駄に広い部屋で、私たちは並んでベッドに腰掛け、窓の外を眺めていた。

別々にシャワーをあび、ホテルのバスローブを着ている。顔はすっぴんで、頭にはタオル。トウコは、バスローブの下にひざ上のスパッツを履いている。



この頃、私達は2人でいるとき、ほとんどしゃべらない。

ただ、寄り添い、お互いの気配を感じながら、ゆったりと過ごす。

トウコの、人を惹きつけるおしゃべりや、丁寧なつっこみは、相手を思いやってのことだったんだなあ、と今更ながらに思う。

それから、そういった気遣いをしないでいい私は、特別な存在になったんだなあ…とも…



「どうしたん?ワタさん、にやにやして」

「…い、いや…、星が…きれいだなぁって」

「星っていうより、夜景ですやん」

「どっちもですぅ」

口をとがらせてみる。

平日の東京は、灯りが多く、星空がそのまま地上まで続いているようだ。




「子供のころ、お前はよく、ガラスの馬車が迎えにくると…」

「ん?」

「ワタさん(瞳▽瞳)♪」

トウコはベッドからぴょんと飛び降りた。

「ベルばらしよっ」
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