『瞳…』
□星がきれいだ
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ということで、窓2面が全面ガラス張りの、無駄に広い部屋で、私たちは並んでベッドに腰掛け、窓の外を眺めていた。
別々にシャワーをあび、ホテルのバスローブを着ている。顔はすっぴんで、頭にはタオル。トウコは、バスローブの下にひざ上のスパッツを履いている。
…
この頃、私達は2人でいるとき、ほとんどしゃべらない。
ただ、寄り添い、お互いの気配を感じながら、ゆったりと過ごす。
トウコの、人を惹きつけるおしゃべりや、丁寧なつっこみは、相手を思いやってのことだったんだなあ、と今更ながらに思う。
それから、そういった気遣いをしないでいい私は、特別な存在になったんだなあ…とも…
…
「どうしたん?ワタさん、にやにやして」
「…い、いや…、星が…きれいだなぁって」
「星っていうより、夜景ですやん」
「どっちもですぅ」
口をとがらせてみる。
平日の東京は、灯りが多く、星空がそのまま地上まで続いているようだ。
…
…
「子供のころ、お前はよく、ガラスの馬車が迎えにくると…」
「ん?」
「ワタさん(瞳▽瞳)♪」
トウコはベッドからぴょんと飛び降りた。
「ベルばらしよっ」