『瞳…』
□扉
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まだ、あまり見慣れていない天井が、ぼんやりと、視界に入った。
…ワタさんち…か…
視線を横にむけると、この部屋の主が、小さな寝息をたてている。
…こうやって見ると、普通にきれいなお姉さんなんだけどなあ…
…
…
…
顔、洗お…
…
…
…
ひどい顔…
また、泣いたね、トウコ。
自分で自分の名前を呼んだことに、ちょっと可笑しくなる。
かつて、この名前をいちばんたくさん呼んでくれた人は、
もう、私の傍に…いないのだから。
…
…
…
鏡のなかの私の顔が、ぼやけた。