『瞳…』

□想い続けて
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「ねえ、トウコ…」
「ん?」

「アイーダやらない?」
「アイーダ?」
「サヨナラショーで」

サヨナラ…

その日は足音をたてながら近づいて来る。
ワタシもワタさんも、忙しすぎて…、その分、時は残酷なぐらい速く過ぎてゆく。

ついに、お互いのために使う時間までなくなり…。
ワタシは、シルバとローズを妹に預け、卒業までの時間をワタさんの部屋で暮らすことにした。

それでも…

「だめだめだめっ。泣く泣く。絶対泣くっ!!」

「おねがい」

ワタさんが身体を起こし、ワタシの顔をまっすぐに見下ろした。

「アイーダで…見送ってほしい…」

「ワタさん…」

日々、お互いに細くなっていく身体を気遣いながら過ごすわずかな時間に、ワタさんはそういう話をする。

気がつくと、唇が落ちてきていた。

…だめ、ワタさん。少しでも、身体休めて…。

「トウコが、『アイーダやる』って言ったら…」

…ワタさん…。


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