『瞳…』
□二の腕
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…私だって不安だった…。
当時の制度で、新・専科から、落下傘で舞い降りた未知の島…、いや、星☆。
しかも相手役は同じく専科組の、ダン姫。
その怖さは、もとCOSMOS組の女帝と…うーん、どっちが怖いか…自粛。
ということで、私は、少しでも早く、☆組になじみたくて、稽古後の教室に向かった。
誰かいるかなあ…。
…いた♪
こじんまりと(こじんまり、言うなあ)、ちょこんと(「ちょこん」、言うなあ)
ベンチに座った人影。
「…トウコ…ちゃん?」
「あっ、ワタルさん、お疲れ様さまですっ!!」
はじかれたように、立ち上がる、下級生レスポンス。でも…。
「どしたの?トウコちゃん…」
「いえっ。何でもありませんっ」
何でもないことないでしょ?そのわかりやすい泣き腫らし顔は?
ここは、ちょっとトップらしく(やらしいなあ、ワタシ)。
「何か困ったことがあったら、言っていいのよ…」
小さい(小さいってゆうなあ)人影は、
「いえ、何も。大丈夫ですっ」
と言い張る。
ええと、何か言わなくちゃ…
と思いながら私の手は、彼女の、二の腕をつかんでいた。
…細い…。