『瞳…』
□ポスター
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…今日は…少し暑い。
私はいつものジャケットに、中は少し薄めのキャミをあわせて(キャミだよ、それってどうよ)事務所を出ようとした。
その瞬間(とき)…
何か吸い込まれそうな…
瞳が…
私をとらえた。
…誰?
ラフ案段階の縮小版ポスター。
でも、見覚えがある…
「あー、化けたねえ♪トウコ」
今は同僚ともいえる、コム君が通りかかる。
「きれいだよねえ(わたしの方が、もっときれい〜♪というのは置いといて)…。
トウコ。ラッキーかも。いや、実力だね」
「うん。そうだよね」
…そうだよね。
コム君(いや、『クン』はいかんか?」)が去ったあと、周囲に人がいないのを確かめて(何故確かめる?)、私はもう一度、そのポスターを見つめた。
…トウコ…。
何度、その名を呼んだか……。
まっすぐ私を見る瞳に…。
fin