『瞳…』
□約束
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チエが出て行ってしまうと、部屋は、海の底のような静寂に包まれた。
私の…、もうひとつの『卒業』は…。
トウコは広いベッドのまんなかで、うずくまるように眠っている。
そっと前髪に触れると、わずかに微笑んだような気がした。
このまま…。
トウコが眠っている間に『卒業』できたら…。
広くとられた窓の外には、星空と都会の灯がつながり、宝石を散りばめたように、またたきながら広がっていた。
この景色をトウコと一緒に眺めたのは、去年のこと。
ずいぶん、時間がたってしまったような気がするけど…。
ああ、そういえばあの時、トウコが…(くすっ)。
「なに、やらしい事、思い出してんの?ワタさん」