『瞳…』
□願い
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「まあ…サイトー的には、『あり』だな」
「…?」
「愛するトウコちゃんのために、キミが出てゆく…」
「先生…」
「んー、でも、シナリオとしては、もうひとつ弱いんだよね」
「弱い?」
「うん。何ていうのか…、
卒業したあとのキミが、全然描かれていないんだよ」
「卒業したあとの…私?」
「うん。予感を含めても…、見えてこない」
「…考えて…ませんでした…」
「ほーら、そこだよ。じゅんこさんが言ってるのも」
「はあ…」
「まして、当のトウコちゃん(を、やっと自分で言えたぞ)が、納得しないだろうし」
「…です…よね」
「ワタルくん…」
「はい」
…
もうとっくにわかっているはずだと思うけど…。
ファンは(もちろん、俺もその中に入っていますが、何か)、
舞台の上だけではない、
キミたち自身の物語を求めているんだよ。
「私たち自身の…?」
そうだ。そして、卒業は、間違いなく、そのクライマックス。
見せてくれよ、俺達に。最高の物語を…。