獣ノ言葉ガ解リシ者

□1:00.赤との出会い
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あ、いや決め付けるのは早い
ただ単に同じ名前なのかもしれない(そんな名前の山があるかどうか知らないが)

ということで、目の前の青年に名前を聞こう。
そしたら、トリップなのかどうなのかがわかる。


『えと、名前は?』

「レッド」


トリップだぁああい!

うん、これはもうトリップなのかも。
なんだか凄く跳びはねたい!!


「…………。」


跳びはねたい衝動にかられていると、レッドさんが顔をしかめる。


「…あんた、」

『はい!?』


いきなり呼び掛けられたので声が裏返ってしまった。

変な人と思われたらどうしよう!
もう思われてるかもだけど!


「…なんでもない。」


そう言ってピカチュウを出してきた。
あ。バトルする…のかな?

…って


『私ポケモン持ってませんよ!?』


残念なことに私はポケモンを持ち合わせていない…

レッドさんと、私の自慢のポケモンでバトルしてみたかったけど…

そんな都合よくあるわけなi


「…それ」


レッドさんが不思議そうな顔をして指を差してきた。

その方向を辿る。
…モンスターボールが6個


え。
そんな都合よくあった!!

まままさか、私のポケモン?
いつの間にと思いつつ、最初のを手に取って投げてみた。


すると、なんとバクフーンがでてきた。
このバクフーンは…


『グレン…?』


私がゲームで育てた、バクフーンのグレン。
もしかしてと思ってそれぞれのボールを手に取ってみる。

それぞれのボールから、何が入ってるのか感覚でわかる。
この子達は、私がゲームで頑張って育ててきた子たち…

腰にあるベルトにとりつけ、状況を理解するとバクフーンを見た。

バクフーンはバトルをしたそうに炎を強くする。

そんなバクフーンに、頷く。


「…いい?」


レッドさんが問う。

私がレッドさんを見て頷けば、戦いが始まった


「…でんこうせっか」

『よけて!』


寸前でグレンは避けた。

ゲームではできないことができる。

ただ、それが違うだけ…

なのに私は、ゲームよりも凄くワクワクしている。
それは、目の前にいるのがレッドさんだからというのもあるだろう。

だけど一番は


本当のポケモンバトルって、こんなにも楽しいんだ…!!













「…戻れ、リザードン」


そう言って、レッドさんはボールを見つめていた。

勝った。

ポケモンバトル…勝ったんだ!!


『やったよ!グレン!』


戦闘不能になりかけそうだったグレンに飛び付く。
グレンは辛そうな顔をしていたが、私が抱き着くとニコッと微笑んで抱きしめてくれた。


「………負けた。」


レッドさんは驚いた顔をしていた。

有り得ない、とでも思ったのだろう。
まあ、見た目初心者っぽかったろうしね


「…………」


グレンと喜んでいると、レッドさんは崖の向こうを眺めた。

…まさか!

レッドさんの噂を思い出し、慌てて走り寄った。


『だ、駄目です!レッドさん!』


走りながらグレンを戻す。

レッドさんはこっちに振り向いて、首を傾げた。


…え?

…自殺しようとしたんじゃ、ないの?


…あ。

やば

雪の上だから勢い止まらない


『おお落ちる!』


私は頑張って止めようとする。
が、勢いは止まらなかった

駄目だこれは絶対落ちる。


『レッドさんどいてくださいー!』


落ちるなら一人の方がいいと思い、レッドさんに叫んだ。

しかし、レッドさんはどかない
なぜ!!


『レッドさんまで落ちちゃいます!お願いだからどいてくださっ…』


焦って叫ぶ。
が、レッドさんはどかなかった。
もうだめだと目をつぶると、ドンッとぶつかる音がした。

そして誰かに抱きしめられて落ちていく感じがした。


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