ゴ ー ス ト ハ ン ト
□ Psychedelic Heroine
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「浦戸を除霊出来ないってどういうこと!?」
麻衣が叫ぶ。
「奴は恨みを晴らしたくてさ迷っているわけじゃない。ただ単に生き延びたいだけだ。どうやって壁の向こうに連れ込んでいるのかわからないが獲物が必要だから狩っている」
『なんだ、わからないのか』
「?」
『いや、こっちの話』
ナルは話を続けた。
「これはもう、亡霊とは言わない。鬼、悪魔、妖怪。そういう化け物なんだ」
「え、でも…!」
「僕は幽霊を狩る方法は知っているが化け物を狩る方法は知らない。除霊は不可能だ。それともこの中に奴を狩る方法を知っている者はいるか?」
自分がこの世界でどの程度力が使えるのかわからない以上、浦戸に対抗できるかな謎だ。
「だからって鈴木さんや厚木さんを放っといて帰るの!?」
「全員死んでいる。望みはない」
「でも…」
「一つだけ弱点がある。浦戸は殺戮を繰り返していたこの家に囚われている。この家から出ることはできない」
「そういや家の周りは安全ってまどか嬢も言ってたな」
「警察を呼んで家を解体すれば失踪者は発見できる。だがそれは僕らの仕事じゃない」
血塗られた迷宮 #4
「このまま逃げて帰るなんてナルらしくないよ!」
「逃げるんじゃない。僕らの仕事はたった今終了したんだ」
「だからそれが逃げて帰るってことじゃ!」
「そうじゃない。みんなには黙っていたが実は…」
ナル曰く、まどかの本当の依頼内容はオリヴァー・デイヴィス博士の偽物の調査だったらしい。
「まどかに依頼されたのは本当はこの件なんだ。よって僕らの仕事は終了した。危険を犯してここに残る理由がない。引き上げる」
「たばかったな、テメー…!」
「戦略上の秘密というやつだ。この中には腹芸の出来ない人間がいるだろ」
「あたしかー…!悪かったわね、ナルと違って人を騙すのが嫌いで!──そういうわけでごめんなさい。うちの所長も偽物です。本物はコイツ」
「麻衣!」
麻衣は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。…仲良いんだなあ、この二人。
「撤収を始める」
「はい!渋谷所長」