ゴ ー ス ト ハ ン ト
□ Psychedelic Heroine
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昼頃から雨もすっかり上がり、夕方になってSPRのメンバー全員が揃った。
俺の体調もそこそこ回復し、起き上がれるまでには回復した。
時々、莉緒が心配そうに俺の顔を覗き込んでいるのを夢うつつに覚えている。
「霊にとり憑かれてはいないようですわ」
真砂子が言う。そりゃそうだ。生まれてこの方、幽霊になんぞとり憑かれたことはない。真砂子の隣ではジョンが心配そうに声をかけてくれた。
「一応、松江さん一家の霊視もお願いします。必要があれば除霊を」
ナルに言われてジョンと真砂子は出ていき、綾子が俺の傍に来た。
安原さんは仮眠をとっているぼーさんを起こしに行った。
「割りと元気そうじゃないの」
「でも昨晩は大変だったんだから」
麻衣が反論する。
「さっさと除霊するなりなんなりしちゃってこんなところ帰りましょうよ。不便ったらありゃしない。それに変よこの村…。なんか不気味だわ」
「綾子でもわかるんだ」
「でもって何よ!」
『外ってそんなに不気味なの?』
「はるまだ出たことなかったっけ?」
『一度出たけど田んぼに行っただけだからな』
と、その時襖が開いているのに気づいた。見れば、誰かが覗いている。
『莉緒、おいで』
莉緒は出てこない。綾子がいるからだろうか。そういえば、ジョンと真砂子が松江さん一家の元へ行ったはずだが…。
麻衣が襖を開けようと立ち上がった時、莉緒は逃げてしまった。
「今の子は?」
綾子が問う。
「この家の子で莉緒ちゃんって言うの。見ての通り人見知りで…。でもどういうわけかはるにだけは懐いているんだよね」
「へえ、意外」
なんだ…この違和感は。
「はるって意外と面倒見いいんだよ。昨日なんて莉緒ちゃんをずっと抱っこしてたし」
「ちゃんと母性本能はあるのね」
「綾子、ぼーさんと同じこと言ってる」
ちょっと待て…。
『なぁ、さっきの…本当に莉緒だったか?』
「何言ってんの?はる。そう言ったのははるじゃん」
『ああ…。目が合ったからてっきり莉緒だと思ったんだ。でも莉緒の姿を見たわけじゃない。それに、松江一家の元にはジョンと真砂子がいるはずだろ?』
「抜け出して来たんじゃないの?」
綾子が言う。
この事態に、今までモニターチェックをしていたナルがこちらを振り向いた。
俺は決定的な事実を口にする。
『もしさっきのが莉緒だとしても…麻衣が立ち上がった時、逃げ出す足音…したか?』
この言葉に麻衣と綾子の顔が見る見るうちに真っ青になっていく。
さらに追い打ちを掛けるようにリンの一言。
「莉緒ちゃんなら、原さんとブラウンさんが向かってからずっと、松江さん夫婦の元を離れていませんが」
「!」
「!」
『!』
その時、突如襖が開いた。反射的に全員がそちらを振り向く。
「…どったの?」
そこにはたった今起きてきたぼーさんと起こしに行った安原さんが立っていた。
ぼーさんはベース内のただならぬ雰囲気に驚いている。
「どうやら…出たみたいだ」
ナルが言った。