ゴ ー ス ト ハ ン ト
□ Psychedelic Heroine
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夢を見た。
「はる」
「一護…」
「もう…どこにも行くな」
「行かないよ」
「嘘だ」
一護の俺を抱き締める腕に力がこもる。泣いているんだと思った。俺は一護にひどいことをした。
たぶん、生まれてからずっと一緒にいた。一護はいつでも俺を助けてくれた。なのに俺は一護が本当に辛くて苦しい時、傍にいてやれなかった。傍で励ますことが出来なかったんだ。
「ごめん、一護」
寂しい思いさせて。たくさん心配かけて。
一護の背中に腕を回した。
「もう、心配はいらないよ」
俺がいなくなったのが藍染のせいだと知った一護は、修業して、幾多の苦難を乗り越えて藍染を倒した。
俺を異世界へ飛ばした張本人が倒れてすぐ、俺は無事現世に戻ることができた。
見慣れた景色に涙が出そうになった。一番に一護の元へ。ボロボロの一護に抱きついた。
みんな驚いていたけれど、織姫は泣き出し、ルキアやチャド、石田に浦原さん。
みんな、温かく迎えてくれた。元の世界に戻れたことが嬉しかった。
それから一護は死神の力を失ってしまったけど、久しぶりに平穏な世界が訪れた。
家に帰ると遊子と夏梨が大泣きして迎えてくれた。普段クールな夏梨がそんなに泣くなんて思わなかったから本当に心配をかけたんだと思った。
親父も安心したみたいでいつになく優しい表情をしていた。
一護とは夜通し話をした。
俺がいなくなってからの話を聞いた。一護はたった一人で何度も躓きながら、みんなに支えられながら藍染を倒すまでの経緯を話してくれた。
俺も異世界に行ってから出会ったSPRのメンバーのことを話した。依頼を受けて調査をしたこと。楽しかったこと。悲しかったこと。ジーンのこと。…そして、ナルのこと。
一護は黙って聞いてくれた。彼らに何の別れも言わずに現世に戻ってきてしまったことを悔やんでいたら慰めてくれた。いつもみたいに。
俺はこの半年間のことを胸に秘め、今まで通りの日常を過ごしていこうと心に決めた。
それなのに、俺は今、また戻ってきている。理由は簡単だ。
藍染が生きているから。