ゴ ー ス ト ハ ン ト
□ Psychedelic Heroine
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まず、二階から見ることにした。段差の高い階段を上がると廊下があり、その右手は壁、左手には部屋が二つ。我々が寝泊まりする部屋だ。
廊下は壁に突き当たって左折してあり、その先にも廊下が続いている。右手は司朗さんたちの寝室でその奥がお祖母さんの部屋。その向かいには物置らしき部屋が。
我々が寝泊まりする部屋にはすでに護符が貼られていた。さすが、仕事が速い。
『この二つの部屋には何も感じないね』
「じゃあ次は夫妻の寝室か」
襖を開けると中には必要最低限の布団や衣類しか置いてなかった。
『莉緒ちゃんはお父さんとお母さんと一緒に寝てるんだよな?』
「…うん。」
『その時、名前を呼ばれるんだな?』
莉緒ちゃんはおそるおそる答えた。
「やさしい声でおいでおいで、っていうの。だけどすごくこわいの」
怖がる莉緒ちゃんの背中をポンポンと叩く。
『そうか…』
「それはどこから聞こえるのかな?」
ぼーさんが優しく聞くがその努力も虚しく、ナルの時のように泣きはしないもののぼーさんから顔を背けてしまった。
「ありゃ…」
『もしそれが霊だとすれば危険だな。莉緒ちゃん、話しかけられても絶対返すなよ。いいかい?』
莉緒はゆっくりと頷いた。
「じゃあ次は…ばあさんの部屋か」
お祖母さんの部屋は生活感満載だった。仏壇があり、お祖母さんの旦那らしい写真も飾られていた。
『何もないね』
「…だな。ってここにも何も感じないのか?」
『ああ。霊の“れ”の字も感じられん』
「二階で残ってんのは、向かいの物置部屋か」
俺たちはばあさんの部屋を出て物置部屋の襖を開けた。
中は元々ふつうの和室だったようで、奥には押入もあるようだった。
物が部屋の奥からぎっしり置かれてあった。
『何か妙だな、この部屋…』
「妙?」
『霊がいるとかそんなんじゃなくて。もっとこう…なんていうの……。ああ、わからん!』
「まあ、この部屋にも霊はいないんだな?」
『この部屋には…な。さあ、次は下だ。降りようぜ』
「おねえちゃん…」
『どうした、莉緒?』
「おトイレ行きたい…」
『マジか!ぼーさん、急いで下りるぞ!』
「お、おお…!」
俺は先に行き、ぼーさんも次いで物置部屋を出た。
ぼーさんが襖を閉めようとしたときわずかに物音がした。
ぼーさんはすぐさま襖を開けたが、部屋の中は不気味なほど静寂に包まれていた。
気のせいにして、ぼーさんは俺の後を追った。