ゴ ー ス ト ハ ン ト
□ Psychedelic Heroine
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[ April day7 ]
翌日、俺たちは壁の向こう、太い煙突があった空白部分を調べることにした。
俺も壁破壊に多いに貢献し、いよいよ完全に貫通した。
「入ってみよう」
懐中電灯を片手に部屋の中を探索する。無論、麻衣、綾子、真砂子は外から見ているだけだ。
「ひでえ臭いだな」
『ああ、腐臭だ。死体が近いな』
「ドアがある」
ナルがそのドアを開けるとそこはただの煉瓦の壁だった。
「ふさがれてる」
『てことはまだ奥があんのか?』
それから部屋探索を続けるがどこも外からふさがれていた。
「うわあ!」
その時、ジョンが悲鳴を挙げた。
見ると、リンさんが焼却炉のようなものの中を懐中電灯で照らしている。
「どうした!」
『…やっと出てきたか』
近寄れば案の定、見るに耐えない人間の死体だった。
ナルは他の霊能者を集めて、今までの調査の報告をした。
「恐らく、二ヶ月前に消えた二人のどちらかだと思います」
「そうですか。とにかく先生に連絡をとってみますので」
「彼らが死んでいる以上、他の失踪者はなも生存の望みはないと思われます」
「鈴木さんは死んでいると仰るの…?」
「恐らく、厚木さんも」
「で、でも…見つかった死体は二ヶ月も前のものだから、きっと道に迷って…!」
「あの部屋は外から完全に密封されていました。生身の人間が壁を通り抜けられない以上、空間をねじ曲げるかどうかして連れて行かれたとしか思えない。それがどれだけの力を必要とするかわかりますか?」
空間をねじ曲げる…?
もし、それの応用で空間を越えることが出来たら俺は元の世界に戻れるんじゃないか?
この世界に来て早二週間。俺は初めて元の世界に戻るヒントを手に入れた。
だけどどうする?浦戸が空間をねじ曲げていたとして、それを俺はどうやって自分に応用すればいいんだ?
…わからん。ナルはそういうことに詳しいんだろうか。だったらナルに訊くのが早いか。
だってもう帰る方向に話が進んでいるし。
俺がグダグダ考えている内に、デイヴィス博士が偽物ということが判明し、ナルが「除霊は不可能だ」と言い出した。
このまま奴をみすみす逃していいんだろうか。やっと見つけた手がかりだぞ?まあ、今までそれらしい努力をしてきたか、と言われればそれまでだが。
ていうか、俺はこれからどうすればいいんだろう。住むところもないし、宛てもない。この調査が終われば俺…ホームレスじゃないか!
ああ、くそう。元はと言えば全部藍染のヤロウのせいじゃねえか。胸くそ悪い。
俺、いつになったら帰れんのかな。なあ一護、お前は今どうしてる?
──帰りたい、みんなのところへ。