ゴ ー ス ト ハ ン ト

□ Psychedelic Heroine
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朝食を急いで口の中に流し込んだ我々は足早にベースにいるナルたちの元へと駆け込んだ。

ジョンの意見を聞いたナルも確信づいたのだろう、目の色が変わった。


「…なるほど。安原さん、麻衣。絶対に一人になるんじゃない。はるもだ。」

ナルの言葉に安原さんと麻衣は強く頷き、俺はなんとなく頷いてみた。

「松崎さん、どの程度信用してもいいですか?」

「なによそれ」

「ここは危険だ。しかし安原さんは自分の防衛が出来ない。護衛には信頼できる人間が必要なんです」

「そういうことね」

ここは危険…。そういえば、誰かにも同じことを言われたな。誰だったっけ。

「どの程度あてにしてもいいんですか?」

「…退魔法程度なら」

「わかりました。では松崎さんと原さんは絶対に離れないように。あなたも霊能者の端くれなら自分の身ぐらい守れますね?」

「ええ」

「ぼーさんとジョンは安原さんを護衛してくれ。はるも一緒に行動すること」

「はいです」

「うす!」

「では、麻衣さんは誰が?…まさか!」

「麻衣はリンに護衛してもらう」

その言葉にリンはコンピュータに向かってキーボードを打っていた手を止め、椅子から立ち上がった。

「ではあなたは誰が護衛するんです!あなただって退魔法を使えないはずです!」

リンがこんなに声を挙げるところを見るとは。意外だ。

「どうすんの?」

麻衣も心配そうに聞く。

「なんとかなる」

「冗談じゃない!ナルの護衛は私がします。──滝川さんは安原さんと黒崎さんを。ブラウンさんは谷山さんをお願いします」

「ぼーさん一人ではきつい」

「おい!見損なうなよ」

「それだけ危険な可能性があるんだ」

「では誰か一人帰して下さい!ナルを一人にすることは出来ません。あなたに万が一のことがあったら教授になんて言ってお詫びすればいいのですか!少しはご両親の気持ちも考えてあげなさい!」

「リン。僕に不満があるんだったら帰ってもらってもいいんだが」

「忘れていただいては困ります。私はあなたを監視するためにいるのです!」


リンの監視という言葉に誰もが驚く中、口を挟んだ者が一人。

「僕が外れます」

言ったのは安原さんだった。















「この家は中央部分が高い構造になっています。一階の床が中央に向かって傾斜しているため周辺に比べるとニメートル以上高くなっています。窓の配置から元々あった建物に部屋をつけて外側に向けて大きくしていったらしい…というところまではわかるのですが…」

「わからないのはこの空白部分だな」

「でっかい隠し部屋か何かか?」

「でも…ここに通じる抜け道なんかありまへんでしたよね」

「元々抜け道なんてないとしたら…」

「え?」

「この空白は隠し部屋などではなく、閉ざされた部屋なのだとしたら…」

「閉ざされた部屋?」

「建物が中から外へ向けて建てられているのといい、何か目的があって…例えば、中にある何かを隠そうとして増築していったとしか思えない」

「あり得るわね」

「でも、隠すって何を?」

「壁の向こうを調べてみればわかるんだが…」

『じゃあ壁壊すか?』


その時、部屋の窓が叩かれた。そのまま勝手に開くと「こんばんは〜」と言うまどかの声が。

「情報をお届けに来ました〜」

「安原さん!?」

「危ないから来るなと言ったのに」

「僕がアシストしてるから大丈夫です」

「それにねここ、外は危険じゃないのよ。何しろ子供の遊び場だから」

「子供の遊び場?」

「そ。この家の庭って広いでしょ?事件が起きる前までは近くの子供が野球やサッカーの練習に使ってたらしいの。もちろん、行方不明になった子なんていないの。危険なのは家の中だけなのよ」

「で、外から見ていて気がついたことがあったんです。この家の煙突の数です。僕たちが調べたときは十本か十一本だったと思うんですが…」

「十一本です」

「外から見ると十二本あるんです」

「本当だ、一本多い」

「しかもよく見ると真ん中の煙突の形が太くて丸いんですよ」

「空白部分のちょうど上辺りだな」

「やはり、何かあるな」


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