ゴ ー ス ト ハ ン ト
□ Psychedelic Heroine
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[ April day6 ]
はっきり覚醒しない頭でぼーさんたちが言葉を交わしているのをなんとなく理解した。
少しずつ覚醒する意識とともに視界が眩しくなった。
そうか、もう朝か。
「起こしますか?」
「まだ寝かせてあげた方がえんとちゃいますやろか…」
「じゃあ誰かここに残らないとな」
「僕が残りますです。滝川さんと安原さんは先に朝食とりに行っとくれやす」
「悪いな、ジョン。頼むわ」
「ではお言葉に甘えて、お先に」
二つの足跡は去っていった。
俺は眠い目を擦り、重い体に鞭打って起き上がった。
「はるさん…!」
ジョンがあわてて駆け寄ってきて体を支えてくれた。
『大丈夫だ。少し眠いだけ』
「もう起きはりますか?」
『ああ。ゆっくり寝てもいられないだろ』
「でももう少し寝てはった方が…」
『人が二人も消えてんだ。探してやんねーと、な?』
「……せやですね」
ジョンは柔らかく笑った。
食堂に行くと先に行ったぼーさんとジョン、麻衣と真砂子に綾子とナルとリン以外が朝食をとっていた。
「もう起きて大丈夫なのか?」
ぼーさんも安原さんも驚いた風に聞いてきたので笑って大丈夫、と返しといた。
「はる、どうかしたの?」
『昨晩、ちょっとな』
「顔色がよろしくありませんわ。まだお休みになられた方がよくありません?」
『大丈夫大丈夫。体力には自信あっから』
「そうですの……」
みんな腑に落ちないと言いたげな表情だったが雇ってもらっている身でおちおち寝ているわけにもいかないし。
それから昨晩の麻衣の夢の話になった。
「こういう可能性はありませんか?鈴木さんか厚木さんのどちらかが死んでいて、その死んだときの経験を谷山さんが自分のことのように感じとった」
「テレパシー夢、ですか?」
「てことは殺されたってことになるわね」
「まさかとは思うが、ここの連中が何かしてるんじゃねーだろうな?」
「……は?」
「だっておかしくねーか?職員連中は準備で一週間いても何もないのに、俺たちは三日で二人の人間が消えてるんだぜ?」
「そういえばこの家に直接関係ある人は消えてませんよね」
「消えたのは外部の人間ばかり…か」
「もしかしてここの霊は若いお人が好きなんと違いますか。職員のみなさんは年配の方ばかりですけど、消えたんは若い人ばかりです」
ジョンの言葉に一同は確信づいた。