ゴ ー ス ト ハ ン ト
□ Psychedelic Herione
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翌日の十一時、俺は約束通り待ち合わせ場所に来ていた。
まどかさんもすぐ来て二人で目的地に向かった。
「そのまどかさんって言うのやめて。まどかって呼んでね」
『まどか…』
俺が試しにそう呼ぶと、
「きゃー可愛い!はるくんに呼ばれると胸がきゅんとしちゃうわ!」
と言って抱きつかれた。
しばらくしてやって来たのは渋谷の道玄坂ってところ。
もちろん現世にそんな地名はなかったから改めてここが異世界ということを思い知らせる。
お洒落なカフェの横にある階段を上るとドアがあり、それには“SPR”とかかれていた。
まどかが静かにドアを開けると中から声が聞こえてきた。
「ナルちゃんのマスコミ嫌いはわかるが、影武者を立てるほどのことなのか?」
「依頼主は他にも何人か霊能者を集めたようだが胡散臭い者もいる。僕はああ言った輩とかかわり合いになりたくない」
「ハッ。自分が嫌なことを他人に押しつけるわけか」
「気が進まないなら、帰ってもらっても構わないが」
まどかは「全く…」と言って勢いよく乗り込んでいった。
ってちょっと待ってくれ!
「もう、どうしてちゃんとお願いしないの!」
「あの…失礼ですがどちら様で……」
まどかは女の子を無視して一番奥に座る黒髪の青年の元へ行った。
「人に物を頼むときにはそれなりの口調ってものがあるでしょう!いつも言ってるのに学習効果のない子ね」
その青年を叱責したあと、まどかはソファに座る人たちに振り返った。
「ごめんなさいね、この子礼儀を知らなくって」
「まどか、黙っていていただけますか。話が進まない」
「だったら口の聞き方に気を付けてね」
「最強だな…」
「てゆうか誰」
「私、森まどかといいます」
「ナルとはどういったご関係で?」
「平たく言えば師匠かな」
「師匠?」
「ナルにゴーストハントを伝授したのは私なの」
「「「えーーー!」」」
「今度の事件は私の事情で引き受けてもらったの。ご迷惑だと思うけど協力してください」
まどかが一礼するとテーブルを囲んで座っていた面々もお辞儀をした。
「それでまどか。そちらの方は」
「ああ、この子は黒崎はるくん。今回の事件に同行させてほしくて連れてきたの」
「そんな話は聞いていませんが」
「だって言ってないもの」
「ここに連れてきたということはそれなりに役に立つと?」
「もちろんよ。はるくん、強いんだから……喧嘩が」
「喧嘩かよ」
口を挟んだのは金髪の男だった。
「リンがいる。必要ない」
「そう言わないで。必ず役に立ってくれるから、はるくん」
「一体何を根拠にそんなことを」
「彼に秘められた可能性かな」
青年はこれ以上言い返しても無駄だと判断したのか、了承した。
「………わかりました。では今回の件には彼も加わるということで」
「はるくん、自己紹介して」
『お、おお。……黒崎はるだ。年は16だ』
言うと、緊張が解けたのか先ほどの茶髪の子が挨拶をしてくれた。
「私は谷山麻衣。はるくん…でいいかな?」
『呼び捨てでいいよ。俺もそうするし』
「オレは滝川法生。元坊主だ。よろしくな」
「巫女の松崎綾子よ。」
「霊媒師の原真砂子ですわ。」
「ジョン・ブラウンいいます。こう見えてエクソシストなんどす」
「僕はただの安原修です」
坊主?巫女?
……なるほど、まどかの知り合いなだけあるな。
「渋谷サイキックリサーチの所長、渋谷一也だ」
『どうぞ…よろしく』