夢小説

□どれくらい仲が良いといえば、消しカスを投げ合う程度。
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「なーなー…授業たりぃーな。」
隣りの席の元親が眠い声で話しをかけた。

「うん。そりゃ5時間目だから。てか、それ以前に元から授業なんかたるいじゃん。」
私も面倒くさそうに返した。

元親は大きくため息をついた。
私は眠くて今にも寝そうだが、なんとか前の黒板を見つめて眠さを耐えている。

元親は、さっきから暇など、何回も言っている。
正直言わせて貰うと、いつもテスト常連赤点者なんだから授業暇とか言うんじゃないの。
真剣にうけろ、バカチカよ。
そう思っていると、そのバカチ…元親が話しをかけてきた。また、眠いなーとか?

「…なぁ、アンタ魚と肉どっち派?」
違った。たわいの無い質問だった。

「はぁ?」

「いいから答えろよ。」
「はぁ……肉、だけど。」
面倒に答えた。
でも、本当に肉派だ。焼肉定食大好きだ。

するとなにやら横から消しカスが投げられた。シャーペンを持っている腕に当たる。

「………(?何…。)」
少し気になった。ついでにイラついた。
そのまま黒板を見続けた。

「…じゃぁ、インドア派?アウトドア派?」

「………インドア派。」
これも正直に。ついに私は眠さの限界、頬杖をつきだした。

「アンタ、太るぜ?」
元親は少し笑って言った。
お節介だ。

「……余計なお世話なんですけど。」
「うおーこえぇ…」
そう言って消しカスを投げて来た。
二回目で眠いせいか、イライラがこれだけで凄くたまった。ので、私も投げ返した。やられっぱなしは嫌いだ。

「……じゃ次、」

と、どんどん二択の質問攻めをされた。
その度か、自分と意見の食い違うときだけ消しカスを投げて来た。
何回投げられただろ。
なので、私も投げ返した。

………――



「大分、時間経ったな。」
と時計をふと見て言った。
何十問と質問され、何十回と消しカスを投げ合っただろう。

「………うん。」


「じゃあ最後の質問な。」
私のほうを向いて言う。
私も今まで黒板を見てたが、質問攻めのせいで目が覚めたのか、眠気は無かった。
元親の方を見た。

「……何?最終質問は?」

「その前に」と、にやりとした。
元親は手にしているもの私に見せた。

「最後俺と意見食い違ったらこの特大消しカス投げるからな。」
楽しそうに言う。

「え、はぁあああ?ちょ、ズル。そんなスペシャルな物用意してたとか準備良すぎ。」
驚く私に元親は笑った。

「………じゃあ最後、海と山どっち派?」



「(これは…裏を読んで…山?これは特大消しカスがかかっているんだ……慎重に考えろ……………………………いや、あえて正直に…!)………海!」
そう言った。









「お、俺も海派だぜ!」


そう嬉しそうに笑った。私もつい口が緩んでしまった。
それと同時にチャイムが鳴った。






後ろの席の二人が私に聞こえないように話す。

「……なあ佐助、ああいう関係を…なんというのだ?」
幸村が言う。
佐助は、簡単に言う。
「ああ、あれは消しカスを投げ合う仲だよ。」

「……………それは仲がよいのでござるか?」
「……んー…良いと思うよ?」
曖昧に幸村の質問に答えた。








どれくらい仲が良いといえば、消しカスを投げ合う程度
("なあ、釣り行くのか?")
("たまにね。")
("今度の日曜日行こうぜ。")
("…………行ってあげてもいいけど?")
(そう言って、消しカスを投げてやった。)





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