Parallel novel
□懐中時計
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「恭弥兄さん!辞書かして〜〜」
綱吉が入ってきたことにより、恭弥は片付けを一旦やめ、本棚を指差した。
「上から3段目だよ」
綱吉が辞書をとろうとしたとき、辞書の上にホコリの被った小さな箱があった。
「兄さん、これなに?」
恭弥にその箱を渡すと
「ああ、懐かしいのが出てきたね」
と言ってその箱を開けた。
中から出てきたのは蓋に桜の模様が入ってる懐中時計だった。
「時計?なんでこんなものを兄さんが?」
綱吉は疑問に思った。
恭弥が懐中時計を持っているとこは見たこともない。
「これは昔、貰ったんだよ。昔、よく遊びにいってた家の人からね」
「じゃあ兄さんの友達?」
「そんなんじゃないよ……それに僕は群れるのは嫌いだ」
「じゃあ誰なの?」
友達ではないと言われて回答に行き詰まった綱吉は恭弥に聞いた。
「じゃあ、昔話をしてあげるよ……これをくれた人のね………」
そう言って恭弥は小学生の時の話をし始めた。