rubbish


◆ブラッド 


「っ…びっくりしたぁ」


本を読んでいたら、突然髪を撫でられた。

さっきまであっちの机で書類仕事してたのに!


「いや、お嬢さんの髪を見ていたら、つい手が伸びてしまった」

「そ、そう」




「あ、あのブラッド?」

「ん?」

「…いつまで撫でてるの?」


近くで髪を撫でられるのも変に緊張するけど

ずっとこちらを見つめていられるのが一番心臓に悪い。


「あぁ、すまない」


手が引っ込められたことにホッとしていると


「ひゃっ」


み、みみ、耳を齧られた?!


バッと耳を抑えて、ブラッドの方に顔を向ければ

ニヤリとしたなんとも彼にお似合いの笑みを浮かべていた。


「赤く染まっていくお嬢さんの顔が可愛らしくてね。林檎のように美味しそうだったから、つい味見をしてみたくなってしまった」

「〜っ」


ブラッドの言葉に私が顔をさらに赤らめたのは言うまでもない。

2012/11/17(Sat) 13:38  コメント(0)

◆ボリス 

※学パロ



「高校生活も明日で終わりかー」

「卒業だもんね」


いつも通りの帰り道。

当たり前だった景色が終わるのは、もうすぐそこ。


「卒業式には、花束でも用意しようか?」

茶化すように笑ったボリスが眩しくて、目を細めた。



一個下の後輩。

一緒に通った通学路

一緒にお昼を食べた屋上


「いいよ、恥ずかしいじゃん」


よく買い食いした角のコンビニ

寄り道の定番の公園


学校生活の想い出には彼がそこかしこにいる。


「ねぇ、アリス」

「もー、最後くらい“先輩”って呼びなさいよ」

「ヤダよ」

「可愛くない後輩ね」


こうして並んで歩くことも、なくなる。

ちょっと感傷的な気分になって、涙が滲むけど、コレは明日までとっておこう。


「…ねぇ、寂しい?」

「そりゃあ、ね。ボリスの方が寂しいんじゃない?私がいなくなって」


茶化すつもりで言ったのに


「うん」


真面目に返された返事に調子が狂う。


「そ、そっか」

「ねぇ、アリス」

「な、なに?」

「アンタのこと、好きって言ったらどうする?」

「え?」


びっくりしてボリスの顔を見た。

真剣な瞳に目が反らせない。


「関係が崩れるのが怖くて、今まで言えなかったんだけどさ…今、言わなきゃ、これからもアンタに会う理由がなくなっちゃうから。…ねぇ、俺の彼女になってよ?」


握られた手に、ドキドキが止まらない。


「…ずっと、ただの先輩って思われてると思ってた」

「俺、アリスのことずっと女の子として見てたよ」

「先輩って呼んでくれないの、頼りないからだと思ってた」

「違うよ。…まぁ、頼るよりは頼られたいけどね、俺的には」


ボリスがなんだか、一段とかっこ良く見えるのは

きっと見方が、“後輩”から“男の子”に変わったから。


「ねぇ、返事聞いてもいい?」

「…私も好き…だよ」

「やった!」


手を引かれバランスを崩した私はボリスの腕に抱きしめられた。

「やっと捕まえた!」

嬉しそうに笑うボリスに、私まで嬉しくなる。


「やっぱり、明日花束もらおうかな」

「ん?」

「付き合い始めた記念に」

「〜っ、もう、アンタは!」


もう一回ぎゅーっと抱きしめられ、首筋にあたるボリスの髪がくすぐったい。


「…とびきりの用意してあげるから、楽しみにしといてよね」

2012/03/09(Fri) 12:46  コメント(0)

◆ロベルト 

※学パロ


部活動に励む生徒たちの声が微かに聞こえる放課後の図書室。

ここにいるのは、私とロベルト先輩だけ。

この時間が私は大好きだ。


その華やかな容姿から、いろいろな噂(いいものから悪いものまで)をされる先輩だけど

意外と本の虫で、しかも、ファンタジー物を好んで読むという事実を知る人はなかなかいないと思う。


カタリ

物音に顔をあげるとロベルト先輩が目の前に立っていて、さらに心臓が口から出るかと思った。


「これ、借りたいんだけど」

「は、はい!少々お待ちください」

差し出された本と少しくたびれた貸し出しカードを受け取って、手続きをする。


「ど、どうぞ」

「ありがと、アリスちゃん」

「…ぇ?」


呆気にとられた私は、微笑んで本を受け取り図書室を出ていく先輩の後ろ姿を黙って見ているしか出来なかった。









「ライルー!」

「ロベルト!学校では先生だと何度言ったら…はぁ」

「ちょ、聞いてくれよ!今日もアリスちゃん、めちゃくちゃ可愛くてさー!あの子こそ俺のお姫様だと思うんだよな!」

「(何を馬鹿なこと、と言いたいところだが、脈ありっぽいんですよね)…はぁ」

「なんだよ、ため息ついてー」

2012/03/07(Wed) 23:46  コメント(0)

◆ジョーカー(ブラック) 


「あなたなんて大嫌い」

「言うじゃねぇか」

「胡散臭いのよね、笑顔とか」

「笑顔が胡散臭いのはアイツの方だろ」

「同じでしょ?」

「顔は…な」

「鬼畜っぽいところもね」

「…口、塞ぐぞ」

「警察呼ぶわよ」

「ここにはそんなもんいねぇよ」

「宰相を呼ぶわよ」

「白ウサギに頼るのか?」

「好きじゃないけど、背に腹は変えられないわ」

「性格悪いよな、お前」

「そうよ、知らなかった?」

「たち悪ぃ」

「…ちょっと、私だけイメージダウンしてない?」

「つまんねぇ事、気にすんなよ」

「適当に流さないでよ!」

「とりあえず…俺はお前のこと、好きだぜ?」



***
あいうえお作文。
ブラックさんが似非すぎて…どうしよう。

2012/03/05(Mon) 23:39  コメント(0)

◆エドワルド 


「どうして、こんなに良くしてくださるんですか?」


不安そうに見つめてくる彼女を抱きしめたい衝動にかられるのを抑え込み、平静を装う。


「どうしたの?」

「自分で言うのもなんですが…こんな何処の者かも分からない、ましてや異世界から来たなんて言う奴を王子様の近くに置いてはいけないと思うのです」

「…誰かに何か言われた?」


ふるふると首を振り、俯いた彼女には見えない。

僕の口角が上がっていることなんて。


あいにく、僕は困っているからという理由だけで助けてあげるほどお人好しでもなければ、善人でもない。

彼女を側に置くのは…言うなれば、鳥を鳥籠に入れて愛でているようなものだ。

駆け引きも計算もない、その無垢な瞳は僕だけを見ていればいい。

可憐な花が咲いたような柔らかな微笑みは僕だけに向けられていればいい。


「僕がしたいから、しているんだ。君が気に病むことじゃない。…もし、それでも気になるというならば、その分笑っていて」

「…はい」


照れたような笑顔を向けてくれた彼女に、たまらなくなって今度こそ僕は抱きしめた。




外の世界を知らない鳥は鳥籠の中が最良の場所だと信じて疑わない。


君は…僕だけの可愛い小鳥(ひと)。

2012/03/02(Fri) 22:31  コメント(0)

◆ブラッド 

※現代設定


「雪で…電車が運転見合わせ?」

しかも、5分・10分では再開しないレベルらしい。

「まいったなぁ…」

メールで同僚にその旨と、もし遅刻するようなら上司に連絡するから、と送るとため息をついた。





ん?

メール?しかも、ブラッド?!

[電車から降りてロータリーまで来なさい]

はぁ?!




慌てて向かったロータリーにあったのは見覚えのありすぎる黒塗りの高級車。


「おう、アリス大丈夫だったか?」

運転席から傘をさして迎えに来てくれたのは、案の定、友人であり上司のエリオットで。

「う、うん」

「ほら、寒いから早く乗れ」

開かれた後部座席のドアに戸惑いながら乗ると

「やはり、迎えに行くべきだったな」

やれやれと息をつくブラッドが乗っていた。





「職権乱用ですよ、“社長”」

「その前に君の“恋人”だ」

出発するぜー、と陽気な声に滑らかに走り出した車。

「前から言っているが…毎日送り迎えをするべきだな」

「平社員に特別待遇はやめてください」

「なら、さっさと社長夫人になったらいい」

プロポーズとも取れる発言に、ブラッドの方を見ると、涼しい顔をして窓の外、真っ白な街を見ていた。

一人赤くなっているのが悔しくて、私も視線を窓の外に向ける。

「…考えとく。とにかく、今日はありがとう、助かったわ」


***
その後、社員(帽子屋ファミリー)全員に出迎えられ、出勤したらいい。実はアリス以外はもうすでに社長夫人という認識で企画会議の3回に1回は(アリスに内緒で)結婚式とか新居についての打ち合わせをしていたらいい。…そんな妄想をしながら待つ電車の中。私にはお迎えは来ないので、いい加減動いてくれないだろうか。

2012/02/29(Wed) 09:27  コメント(0)

◆グレイ 


「熱いから気をつけて」

「ありがとう」


差し出されたカップにはグレイ特製のココアが入っている。

まさに絶品のそれをいただきながら、私は自分のカップを傾けるグレイにそっと視線を向けた。

グレイのカップの中には私の胡桃色の中身とは違う、真っ黒なブラックコーヒーが入っていて

それを飲むグレイの姿は、まさに大人の男の人。


「どうした?美味しくなかったか?」


かけられた声にハッとして首を振った。


「ち、違うの」

「なら、何か悩み事か?」

「あ、その…私もブラックを飲めるくらい大人になりたいなって思って」


こんなことを言っている時点で子どもだ。


「わ、忘れて!」

恥ずかしくなった私は笑って誤魔化すと…手元のココアを飲むことに専念した。










「お疲れ様」

そう言って渡されたカップからはいつもと違う香りがして

不思議に思いながら、中を見るといつもの胡桃色とは違う褐色をしていた。

それにこの香りは…いつもグレイのカップから香っていたものに近い気がする。

そっと、一口飲む。


ミルクで柔らかくなっているが、それは甘さはなしの大人な味で。


「…美味しい!」

顔を上げて、グレイを見るとホッとしたように優しく微笑んでいた。


「良かった。今日はエスプレッソにホットミルクを入れてラテにしてみたんだ」

「…もしかして、グレイも同じやつ?」


頷いた彼の姿に嬉しくなって、思わず笑みが零れる。


「俺も…君と同じものを飲んで、同じように美味しいと思えるのは嬉しい」


小さく呟くように言われた言葉に、たまらなくなって

私はカップを手近なテーブルに置くとグレイに抱きついた。

2012/02/28(Tue) 23:47  コメント(0)

◆ボリス 


※現代設定


「…6時…12分…今日は…お休み……じゃない!仕事だ!」


バサッ

「うぁあ!」
「遅刻す、る!」

布団が落ちるのも、ボリスが悲鳴をあげるのも、無視して私はベッドから飛び起きた。

いつも出勤の2時間前には起きるのに、今日目覚めたのは45分前。

着替えやメイク…朝すること必要最低限を最速で済ませなければ、遅刻確定だ。


「今日に限って寝癖が酷いし!」

ガチャガチャとドライヤーを引っ張り出そうとした腕を不意に引かれ

振り向いた私の額に触れた柔らかい感触と

「とりあえず落ち着きなよ」

真っ直ぐ見つめてくる瞳に

体と思考が一時停止した。



「今日はとびきりの抜け道使ってバイクで送って行ってあげるから、いつもより40分遅く家を出るので大丈夫だよ」

「本当?!」

「うん。だから、ちゃんとご飯食べて、いつも通りカフェラテ飲んでから行くこと…いい?」

「うん、わかった」

「いい子。じゃ、俺は朝飯の準備してくるから、身支度しといで」


私の頭をくしゃりと撫でるとボリスは慣れた手つきでエプロンをしながらキッチンへ向かうべく、背を向ける。


甘えたな時もあるけれど、いざという時にはこうして男前なボリス。

あぁ、何度恋に落ちるんだろう。


「ボリス!」

「んー?」

「大好き!」



彼の背にそう言って、洗面所に駆け込んだ私は知らない。


「…いちいち可愛いすぎるんだよ」


顔を赤くした彼とその手の中で割り損ねた卵の存在を。

2012/02/27(Mon) 18:40  コメント(0)

◆エース 



「寒い」

ハートやクローバーの国では感じなかった感覚。

少しの懐かしさに浸りながら、窓の外、降り積もる雪を見ていた。


バタン!


「あ〜、参ったぜー」

突然開かれたドアから聞こえたのは緊張感に欠けるエースの声で

「雪くらいちゃんとはらってから入ってきなさいよ」

バサバサとはらわれた雪が絨毯にシミを作るのを見つめながら、ため息をついた。

「すぐに元通り綺麗になるんだからいいじゃないか」

「それはそうだけど…」

「まったく、君もユリウスもなんでこんな寒い季節にいるかなー」

「ユリウスは別に好きでこの季節にいるわけじゃないでしょ」

「…じゃあ、君は?どうして此処にいるの?」

「それは…」


自分の季節の貴方より、ここの季節の貴方の方が貴方らしくて楽しそうだから

…なんて

「…冬が好きだからよ」

素直に言ってあげないけど。


「さ、コーヒーでも飲みましょう。ユリウスもそろそろ休憩させないと」

「本当、よくあんな真面目に働けるよなー」

「貴方は少し見習いなさいよ」

2012/02/26(Sun) 23:36  コメント(0)

◆ディー&ダム 

※双子は大人ver.


「あれ?お姉さん、いつもと違う匂いがする」

「ほんとだ。何かつけてるの?」


いつものようにディーとダムの間で寝ようとしたら、2人が不意に鼻を寄せて来た。


「ん?あぁ、バスソルトのせいかしら?」

「「バスソルト?」」

ユニゾンで返ってくる声に思わず笑みがこぼれる。

「うん、ボリスにもらったの。“アンタ、こういうの好きそうだよね”って。なかなか良い匂いでしょ?」


「「……」」

「ん?」


返事をしない2人に首を傾げていると

「ひゃ!」

いきなり両側から肩のあたりを舐められた。

「な…」

「確かに、いい匂いなんだけど…」

「僕たち以外から贈られた香りってのが気に入らない、かな?」

「ぇ?…ん…」

「そうだ、今度は僕たちがプレゼントするね」

「コレよりも、もっとお姉さんが気に入ってくれるのをね」

「わ、わかったから、…ぁ…舐めるの、やめなさい」

首筋まで舐め始めた双子を両手で制し…たんだけど


「変だな…なんだか止められそうにないや」

「ちょっ」

「その匂い…なんか入ってるのかも」

「はぁ?!」

「「不可抗力だから…しょうがないよね?お姉さん」」









「はぁ?催淫効果?そんなのあるわけないじゃん。そんな怪しげなやつ、俺がアンタにあげると思う?」

「っ!あの2人め!」

2012/02/25(Sat) 23:08  コメント(0)

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