In the interstice of frenzy and love・・・

□狂い桜[嘘]
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「晋助、俺ちょっと薪取りに行ってくる。」

「ん?ああ、なら俺も行くぞ?」

「・・・・・・・・。」

「?どうした?」

「う、ううん!何でも!じゃあ早く行こう!ここ暗くなるの早いし!」

「ああ。」











萩の樹海・・・・


そこに銀時と来て、ひと月程経った。

俺はひと月前起きると左目を失った大人の身体で今の屋敷にいて、同じく大人になった銀時だけが傍にいた。


どうやら俺は村が天人に襲われた時に目をやられ、ずっと眠っていたらしい。

それから銀時が唯一生き残った俺を連れて、此処まで運んだとか言っていた。



父上や母上を奪われたのは辛いが、銀時が生きていた・・・・

おれにはそれが救いだった。


たとえ、怪我のせいで記憶が混濁しててもだ。





俺は左目の傷が深かったことで、脳にも異常が出たんだと銀時は言っていた。

だから、ついひと月前まで俺が12だったとしても、身体が大人になっていておかしくないらしい。


実際に事件が遭ったのは、今から数ヶ月前とも聞いた。

だが、俺はその12から事件までの記憶がなくなっている。


最初は酷い混乱や時々頭痛に襲われたが、銀時がいたから堪えられた。

銀時だけが・・・・

俺の全てを支えた。




だが、冷静になってくると俺は、銀時の中にある秘密に感づきだした。

銀時は、何かいつも抱えて俺が声を掛ければ何かに堪えることが何度もあった。

まるで、俺じゃない“誰か”を比べて、苦しんでるような――・・・。



確かに俺は脳みそが今は12で、けど銀時は今までずっと大人の俺といたんだ。

比べるのもわかるが・・・

それとはまた違うと思ったのだ。





銀時は―――絶対何かを隠している。

それが何か、俺の中で何より知りたい事実になりだしていた。











銀時・・・・


お前は、俺に何を隠してんだよ?

何をそんなに“苦しんでる”んだ?






(愛する故の偽りが、傷付けることを彼女は知らない。)



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