一般向け小説置場

□夢のチカラ
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トノサマンショー当日。
御剣、真宵ちゃん、春美ちゃん、僕の四人で見に行く事になったんだけど、今回は大学時代の知り合いが出演していたから懐かしくて話し込んでいたら、それを見ていた真宵ちゃんが後でちゃっかり飛び入り参加をお願いしたらしい。
たまたまその場に居合わせた舞台演出の人が、真宵ちゃんと春美ちゃんの装束姿を気に入った為、参加を許可してくれたのだ。
「御剣検事!あたし達ショーに出演しますから、なるほど君と一緒に応援してくださいね!」
「了解した。」
「よ、良かったね…」

   *   *   *

「きゃあ〜〜!助けてぇ、トノサマン!」
「ひ、人質とは卑怯でござるぞ、アクダイカーン!」
「ふぁっはっはっはっは!人質を無事に取り戻したくば、スピアーをこちらに渡すのだ!」
「と、トノサマン!スピアーをわたしてはいけません!」

「迫真の演技だな、真宵君と春美君…」
御剣と僕は、『二人の出演』を見守った。
…まさか、真宵ちゃんが言っていた願い事(トノサマンショーに飛び入り参加)が本当に叶ったなんて…。
結局、僕達は心配して見ていたものの、意外に真宵ちゃんも春美ちゃんも大きな失敗も無く、大盛況の内にショーは終わった。

「まよいさま…私、しあわせで…まだユメをみているみたいですぅ…」
春美ちゃんが、興奮からか赤くなった顔を手で包みながら溜め息を吐いた。
「あたしも幸せいっぱい!やっぱり、あのおまじないが効いたんだなぁ!」
ど…どうかなかぁ?
でもまぁ、あながちハズレとも言えない気がしてきたよ…。
「まさか、そんな事が…非現実的だ。」
「御剣…最早、僕達の周囲では非現実的な事も現実なんだから…」
曲玉をちらつかせてみせた。
「ああ…さいころ錠然り、か…」
腕組んでしみじみ言ったけど、名前間違ってるからな?
「なるほど君!あのおまじない、すっごい効き目だから試してみてよ!御剣検事も、是非試してみて下さいね!」
「む…考慮しておく。」
「う、うん…わかったよ。」
僕も御剣も、真宵ちゃんの勢いに圧されて頷くしかなかった。

   *   *   *

願い事、か…そうだなぁ…。
とりあえず、無難な所から書いていく。

まずは、事務所が安定する様に。
続いて、真宵ちゃん達が一人前の霊媒士になれる様に。
今まで関わってきた人達が、健康で幸せに生活出来る様に。

ふと、自分の番になるとペンが止まった。
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