一般向け小説置場

□「逆転裁判カップリングで20のお題」
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分かれ道(ミツナル←マヨ)

「…御剣検事と喧嘩でもしたの?」
真宵ちゃんから、唐突にこんな事を聞かれて、僕は面食らってしまった。
「そんな事無いけど…何で?」
「御剣検事からメールがきたの。」
…そのメールの内容に、僕はショックを受けた。

   *   *   *

御剣のマンション。
気が付いたら、そのエントランスに居た。
御剣を待つ為に。
「な、成歩堂?」
少し驚いた風の御剣の声が聞こえた。
「…お帰り。」
「偶然だな…君に会いたいと思っていた…」
そう言って、御剣は優しい笑顔を見せた。
いつもなら見惚れてしまうけど、今日だけは違った。
「…真宵ちゃんとデートするクセに…!」
「…何?」
声は出来るだけ穏やかに話したけど、目だけは怒ってたんだろうな。
御剣が、あまりにもわかりやすくうろたえた。

トノサマンの話題ですっかり意気投合した二人が、たまにメールのやり取りをしていると知ったのは、ついこの間御剣から聞かされたけど…恋人同士になった僕よりも、趣味が合う真宵ちゃんと頻繁にメールしているなんて…正直かなり悲しかった。
しかも、あのメールの内容は、今度の日曜にトノサマンショーを見に行こう、という物だった…僕には内緒で!

信じられなかった。

僕だって御剣が良ければ、デートみたいな事したいな…とか、(『我ながら乙女思考だな』と、恥ずかしく思いながらも)考えていたのに、いくらトノサマン好きだからって、恋人になったばかりの僕を差し置いて…!
「そりゃ、どうせ行くならトノサマンにあまり興味が無い僕と行くより、同じ趣味の真宵ちゃんと一緒の方が盛り上がるしね。僕がそれを知ったら怒るからとか、色々考えて内緒にしようと思ったんだろうけど、『ふざけるな!』だよ。僕達の関係って何なんだよ!」
怒鳴るうちに、涙が溢れた。

一方通行、交差点、分かれ道…
人生を道に例える人はいる。
だったら…僕と御剣は、今どんな道に立っているんだろう…
ひょっとして…分かれ道…?
もしかして…僕からの一方通行だった?
ダメだ…どんどんマイナス思考になっていく…くだらないと笑うなら笑えばいい…

そんな、半ばやけくそになった時…

「成歩堂…」
優しい声音で呼ばれたかと思ったら、突然ふんわりと抱きしめられた。
「すまなかった…まさか、こんな効果があるとは思わなかった…」
「…効果?」
…まさか…嘘だったのか!?
「君を喜ばせたかったのだが、趣味がよく解らなかったから、真宵君にリサーチして、その返礼に招待したのであって…」
…呆れた理由だけど、あんまり愛おしくて…思わず自分からキスしてしまった。
「なっ…!」
「ばか…何で君と居られるだけで幸せだっていう事に気付かないんだよ…」
自分で言っておきながら、何だか妙に恥ずかしくて、顔を肩口に埋める様にして抱きつきながら本音をぶつけた。
「本当にすまなかった…」
まるで、小さい子供をあやす様に背中を優しく叩かれた。
「ならば…今夜は君を帰さぬが、それでも良いだろうか?」
熱をはらんだ瞳で、ちょっと物騒な事を言われたけど、僕は
「うん…」
とだけ答えて、涙を零しながら笑った。

   *   *   *

「あ、成歩堂君からメールだ…」
私は、二人が仲直り出来たと知って安心しながら、『御剣検事、惜しい事したな…』なんて考えた。
だって、検事がトノサマンショーに行けなくなったから、はみちゃんと楽しんでおいで、なんて送ってきたから。
…でも、これはある意味私が望んだ結末。
二人が幸せなら、私も幸せ。
成歩堂君が笑ってくれるなら、私はもっと幸せ…。
「…成歩堂君、御剣検事…お幸せにね。」
私は、成歩堂君からのメールを保護して、携帯をしまった。



End


※真宵ちゃんは二人が『恋人同士』と知っていそう…
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